【監修医師より】
「生理痛くらいで病院に行っていいのかな…」と迷ったまま、何年も一人で痛みを我慢してきたという方に、これまで診察室で本当にたくさんお会いしてきました。
でも実は、生理痛は婦人科でいただくご相談の中でも、もっとも身近で一般的なもののひとつなんです。
「受診ってどんなことをするんだろう?」「オンライン診療でも大丈夫なのかな?」といった不安を少しでも減らせるよう、この記事で受診の流れや便利な使い方をまとめました。まずは受診後のイメージを膨らませて、軽やかな毎日へ向けた一歩を踏み出してみませんか?
この記事でわかること
- 生理痛で婦人科に行ってよい理由と、受診の目安
- 受診前の準備(持ち物・服装・あると役立つ記録)
- 受付から処方までの診察の流れ
- 内診が不安な場合にできる相談
- オンライン診療の使い方と、対面受診が必要なケース
「生理痛で病院に行くのは大げさかもしれない」——そのためらいこそが、受診のハードルになっている場合があります。この記事では、生理痛で婦人科に行く目安と、実際の受診の流れを最初から最後まで解説します。
結論:生理痛は婦人科に行ってよい症状です
最初に結論からお伝えします。生理痛は、婦人科を受診する理由として十分な症状です。
婦人科は妊娠・出産のためだけの診療科ではありません。月経のトラブルは婦人科の中心的な診療テーマであり、生理痛の相談は日常的に行われています。月経困難症とは、生理に伴う痛みなどの症状のために日常生活に支障が出ている、治療の対象となる状態のことです(出典:日本産科婦人科学会)。放置したままだと、子宮内膜症などの病気が隠れていた場合に発見が遅れる可能性もあります。
「痛みの程度をうまく説明できないから」「たいしたことないと言われたら恥ずかしいから」と受診をためらう必要はありません。症状の程度を判断するのは医師の仕事であり、相談すること自体に条件はありません。
生理痛で婦人科に行く目安
生理痛で婦人科に行く目安は、「鎮痛薬が効かない」「生活に支障が出ている」「痛みが悪化してきた」のいずれかに当てはまることです。具体的には次のような状態です。
- 鎮痛薬を飲んでも痛みがつらい、または鎮痛薬の量・回数が増えている
- 生理のたびに仕事や学校を休む・早退する、予定をキャンセルする
- 痛みが以前より強くなってきた
- 生理以外の時期にも下腹部や腰が痛む
- 経血量が多い(昼でも夜用ナプキンが必要、レバー状のかたまりが出る)
当てはまる項目が多いほど、月経困難症として治療を検討する意義が高い状態といえます。一方で、この目安に当てはまらなくても受診してかまいません。「痛みの原因をはっきりさせたい」「ピルという選択肢を聞いてみたい」「将来の妊娠に影響がないか確かめたい」——そうした理由での受診も、すべて正当な受診理由です。生理痛の背景にある月経困難症については、月経困難症の解説記事で詳しく解説しています。
受診先の選び方
生理痛の相談ができる診療科・医療機関にはいくつかの呼び方があります。
- 婦人科:月経・ホルモン・子宮や卵巣の病気など、女性の体を専門に診る診療科です
- 産婦人科:産科(妊娠・出産)と婦人科を合わせた診療科です。生理痛の相談もできます
- レディースクリニック:名称は様々ですが、婦人科診療を行っていれば生理痛の相談先になります
いずれでも生理痛の相談は可能です。選ぶ際は、次のような観点が参考になります。
- 通いやすさ:治療が始まると通院が続くため、無理なく通える立地・診療時間かどうか
- 予約のしやすさ:予約制かどうか、Web予約に対応しているか
- オンライン診療への対応:通院の負担を抑えたい場合や、継続受診のしやすさを重視する場合の選択肢になります
- 医師の希望:女性医師を希望する場合は、在籍状況を事前に確認できます
「最初に選んだ医療機関と合わなければ変えてもよい」ということも覚えておいてください。相性も含めて、続けられる相談先を見つけることが大切です。気になる医療機関が見つかったら、まずは予約や問い合わせから始めてみてください。
受診前の準備
持ち物
- マイナ保険証(または資格確認書):保険診療に必要です
- お薬手帳:服用中の薬やアレルギーの確認がスムーズになります
- ナプキンなどの生理用品:検査の内容によっては出血がある場合もあるため、持っておくと安心です
あると役立つ記録
- 最終月経の開始日と月経周期(アプリの記録画面をそのまま見せる形でかまいません)
- 痛みが強い日・痛む場所・使った鎮痛薬
- 学校や仕事を休んだ日
正確に思い出せなくても大丈夫です。「だいたいこのくらい」という情報でも診察の助けになります。
服装
内診や超音波検査が行われる場合に備えて、スカートなど着脱しやすい服装だと負担が少なくなります。パンツスタイルでも受診に支障はありません。
生理中でも受診できる?
受診できます。出血中でも問診や相談は問題なく行え、検査が必要な場合も医師が調整します。つらいときに相談するほうが症状も伝わりやすく、「生理が終わってから」と延ばす必要はありません。
婦人科の診察の流れ

初めての婦人科でも戸惑わないよう、一般的な流れを紹介します。
1. 受付・問診票の記入
受付では「生理痛の相談で来ました」と伝えれば十分です。その後、最終月経、月経周期、症状、既往歴、服用中の薬などを問診票に記入します。問診票の内容は診察の重要な材料になるため、正直に書くことが大切です。性経験の有無など答えにくい項目もありますが、検査方法の選択などに関わる医学的に必要な質問であり、回答は守秘義務のもとで扱われます。
2. 診察(問診)
医師が症状について詳しく聞き取ります。いつから・どんな痛みが・どのくらい続くのか、生活への支障はどの程度か、といった内容が中心です。うまく説明できるか不安な方は、準備した記録を見せながら話せば十分です。
3. 必要に応じた検査
症状や状況に応じて、超音波検査などが行われる場合があります。子宮や卵巣の状態を確認し、生理痛の背景に病気がないかを調べるためです。検査を行うかどうか、どの方法で行うかは、症状と本人の状況をふまえて医師が判断します。
4. 説明・治療方針の相談
診察と検査の結果をもとに、状態の説明と治療の選択肢の提案があります。治療には鎮痛薬・漢方薬・保険適用の低用量ピル(LEP製剤)などがあり、月経困難症と診断された場合のピルの費用は保険適用になり得ます。費用の仕組みはピルの保険適用の条件で詳しく解説しています。
疑問があればその場で質問してかまいません。「すぐには決められない」と持ち帰ることもできます。
内診が不安な方へ
婦人科の受診をためらう理由として、内診への不安を挙げる方もいらっしゃいます。知っておいてほしいのは次の点です。
- 内診が必ず行われるとは限りません。問診や、お腹の上からの超音波検査などで診察が進められる場合もあります
- 不安がある場合は、診察の前に伝えてかまいません。「内診に抵抗がある」と伝えたうえで、進め方を医師と相談できます
- 検査の必要性は状況によって異なります。どうしても必要な場合には、理由の説明を受けたうえで判断できます
受診で得られるもの
生理痛での受診によって得られるのは、薬だけではありません。
- 原因の確認:痛みの背景に病気があるかどうかを調べられます。病気が原因ではない「機能性」か、病気が隠れている「器質性」かの見極めは、自分では判断できません
- 治療の選択肢:鎮痛薬の使い方の見直し、漢方薬、保険適用の低用量ピルなど、自己流の我慢以外の手段を知ることができます
- 安心:「大きな病気ではなかった」という確認そのものが、毎月の不安を軽くします
- 相談先:一度受診しておけば、症状が変化したときにすぐ相談できる、かかりつけの窓口ができます。今後の月経とのつき合い方を相談できる場所を持てること自体が財産です
付き添いについて
家族やパートナーの付き添いを希望する場合は、可否や診察室への同席のルールが医療機関によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。ひとりでの受診が不安な方は、送り迎えや待合まで付き添ってもらうだけでも心強さが変わります。
受診をためらわせる不安と、実際のところ
「症状が軽いと言われたら恥ずかしい」
診察の結果「大きな病気は見つからなかった」となることは、恥ずかしいことではなく、安心材料が手に入ったということです。そのうえで、痛みに対する治療の相談は引き続きできます。「異常なし=痛みを我慢しろ」ではありません。
「何を話せばいいか分からない」
「生理痛がつらくて相談に来ました」——この一言で十分です。あとは医師が質問しながら順番に聞き取っていくため、うまくまとめて話す必要はありません。話しているうちに整理されていくものです。
「費用が高そうで怖い」
生理痛の診察は保険診療で受けられ、自己負担は原則1〜3割です。検査の有無などで金額は変わるため、気になる場合は受付や診察時に確認できます。
「様子を見てからでいいのでは」
「様子見」を繰り返すうちに、気づけば数年経っていたということも起こり得ます。生理痛の背景に病気がある場合、その間は確認の機会を逃し続けることになります。迷っている時点で、一度確かめておく価値があります。
オンライン診療という選択肢
オンライン診療とは、スマートフォンなどのビデオ通話で医師の診察を受けられる仕組みのことで、生理痛の相談にも使えます。通院の時間が取れない、近くに婦人科がない、対面での相談に抵抗がある——そうした方の選択肢になります。
オンライン診療の一般的な流れ
- 予約:医療機関のサイトやアプリから予約します
- 問診・診察:スマートフォンなどのビデオ通話で、医師の問診を受けます
- 処方:診察の結果、薬が必要と判断されれば処方されます
- 薬の受け取り:薬局での受け取りや自宅への配送など、医療機関によって方法が異なります
オンライン診療を受ける前の準備
- ビデオ通話ができる通信環境とスマートフォンなどの端末
- マイナ保険証(または資格確認書)などの本人確認・保険確認に必要なもの
- 症状のメモや月経の記録(対面と同じく、問診の助けになります)
予約方法や必要なものは医療機関によって異なるため、案内に従って準備してください。
オンライン診療が向くケース・対面が必要なケース
オンライン診療は、通院の負担を抑えて相談を始めやすい一方で、触診や超音波検査などはできません。器質性の病気が疑われる場合など、状況によっては対面での受診が必要と判断されることがあります。
「まずオンラインで相談し、医師の判断に従って必要なら対面の検査を受ける」という使い方もできます。受診そのものを先延ばしにするより、最初の一歩のハードルを下げる手段として検討してみてください。
受診後の流れ
治療が始まった後は、治療を続けながら体調や症状の変化を医師と確認していくのが一般的です。処方された薬の効果や気になる症状はメモしておき、次の診察で医師に伝えてください。ただし、気になる変化が強い場合は、次の診察を待たずに医療機関へ相談してください。
低用量ピルによる治療が始まる場合は、種類や飲み方の説明を受けます。ピルの種類の全体像を予習しておきたい方は、低用量ピルの種類一覧が参考になります。
よくある質問
Q. どのくらいの生理痛なら受診してよいですか?
A. 痛みの程度にかかわらず、生理痛は受診してよい症状です。「このくらいなら受診してよい」という下限はなく、痛みの原因を確かめたいだけでも受診できます。「受診するほどかどうか」の判断に迷っていること自体が、相談してよいサインだと考えてください。
Q. 診察ではどんなことを聞かれますか?
A. 最終月経の開始日、月経周期、痛みの強さと時期、鎮痛薬の使用状況、既往歴、服用中の薬などです。月経の記録があると答えやすくなりますが、正確に覚えていなくても診察は受けられます。
Q. 性経験がなくても内診はありますか?
A. 必ず行われるわけではありません。検査の方法は、症状や状況、性経験の有無などをふまえて医師が判断し、本人の事情にも配慮されます。お腹の上からの超音波検査などで進められる場合もあります。不安な場合は問診票や診察の際に伝えてください。
Q. 薬の処方だけをお願いすることはできますか?
A. 薬の処方には診察が必要です。ただし、診察といっても問診が中心の場合も多く、症状を伝えて相談すること自体が診察です。「大がかりな検査をされるのでは」という心配で受診を避ける必要はありません。
Q. 大人になってから初めて婦人科に行くのは変ですか?
A. まったく変ではありません。年齢を問わず、初めての婦人科受診はよくあることです。問診票や診察で「婦人科の受診は初めて」と伝えれば、その前提で進めてもらえます。
Q. 家族に知られずに受診できますか?
A. 受診自体は本人の意思だけでできます。ただし、家族の健康保険の扶養に入っている場合は、医療費通知などを通じて受診したことが家族に知られる可能性があります。知られたくない事情があるときは、その旨を受付や診察で相談してみると、対応できる範囲を教えてもらえます。
Q. 女性の医師に診てもらいたいのですが。
A. 女性医師が在籍する医療機関を選ぶ、予約時に希望を伝えるといった方法があります。対応の可否は医療機関によって異なるため、事前に確認すると安心です。
Q. 鎮痛薬を飲んだ状態で受診しても大丈夫ですか?
A. 問題ありません。痛みを我慢して受診する必要はありません。診察の際に、飲んだ薬の名前とタイミングを伝えてください。ふだんの鎮痛薬の使い方も、そのまま伝えれば診断の材料になります。
Q. 仕事があって平日の日中に行けません。
A. 土曜や夜間に診療している医療機関や、オンライン診療に対応している医療機関もあります。診療時間は医療機関によって大きく異なるため、生活に合わせて選んでみてください。
Q. 受診にはどのくらい時間がかかりますか?
A. 医療機関の混雑状況や検査の有無によって異なります。予約制の医療機関やオンライン診療を利用すると、待ち時間を抑えやすくなります。初診は問診票の記入がある分、時間に余裕を持って向かうと安心です。
まとめ
生理痛は、婦人科に相談してよい症状です。受診の流れは問診が中心で、検査や進め方は相談できます。対面のハードルが高ければ、オンライン診療から始める方法もあります。準備するものも特別ではなく、月経の記録があれば十分すぎるほどです。毎月のつらさを「仕方ない」で終わらせず、一度相談してみてください。
【監修医師より】
実際に受診された方の多くが、「こんなことなら、もっと早く来ればよかった!」とおっしゃいます。
内診などに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、問診でお話を聞くだけでも見えてくることや、できるお手伝いはたくさんあります。どうか気負わずに、まずはお話ししに来るくらいの感覚でいらしてくださいね。
参考文献
すべて公的機関・学会の一次資料です(最終確認:2026-08-24)。
最終更新日: 2026-09-03

