フィナステリドとデュタステリドの違い|選び方を医師が解説

監修:加藤 友紀子 医師
この記事の監修医師
加藤 友紀子 医師
医師(発毛医療・美容皮膚科)
プロフィール →

【監修医師より】

フィナステリドとデュタステリド、どちらにすべきか迷っている方からのご相談は日常的にあります。私が長年の臨床経験を通じてお伝えしているのは「効果の強さだけで選ばない」ということ。作用の違い・副作用の出やすさ・ライフスタイルとの相性まで含めて、お一人おひとりに合った選択を一緒に考えることが大切です。

目次

この記事でわかること

  • 早見表で7項目比較——どちらが自分に合うかすぐ分かる
  • 5α還元酵素 I型 vs II型——作用範囲の違いが効果を決める
  • 効果の数値比較(48週・24週試験データ)
  • 副作用の頻度比較(添付文書の区分:フィナ1〜5%未満 vs デュタ1%以上)
  • 半減期と献血制限の違い——デュタは中止後6ヶ月
  • フィナステリドからデュタステリドへ切り替えるタイミングと方法
  • PSA値への影響と検診時の申告ルール
  • 併用は可能?——ミノキシジル外用との組み合わせ
  • ありがちな飲み方の落とし穴4つ
  • 費用の詳細(先発品 vs 後発品・年間試算)

 


「2種類あって、どっちを選べばいいか分からない」——AGA治療薬を検討する方からよくお聞きする声です。

フィナステリドとデュタステリドはどちらも日本皮膚科学会の診療ガイドラインで推奨度Aと評価された主力薬ですが、作用範囲・効果の強さ・副作用頻度・体内残存期間で違いがあります。

本記事では早見表+詳細解説で「自分にどちらが合うか」を整理します。判断のための判断軸(こんな人におすすめ)や、切り替えタイミング、併用の可否まで網羅的に解説します(※効果・副作用には個人差があります)。

フィナステリドとデュタステリドの違い:7項目の早見表

医師と患者がクリニックでAGA治療薬(フィナステリド・デュタステリド)について相談している様子(フィナステリド デュタステリド 違い)
図1:医師との診察で自分に合ったAGA治療薬を選ぶ

項目 フィナステリド デュタステリド
阻害する5α還元酵素 II型のみ I型・II型 両方
用量(添付文書) 1日1回 0.2mg〜1mg 1日1回 0.1mg〜0.5mg
半減期 約3〜4時間(短い) 約3〜5週間(長い)
48週改善率(プラセボ比) 約58% デュタの方が優位
24週国際共同比較試験 毛髪数の変化 +56.5本 +89.6本(有意に優位)
性機能副作用 リビドー減退1〜5%未満・ED1%未満 1%以上(性機能不全として)
献血禁止期間(中止後) 1ヶ月 6ヶ月
月額目安(ジェネリック) 約2,000〜4,000円 約3,000〜6,000円
推奨度(日本皮膚科学会) A A
こんな人におすすめ 初めての治療/費用・副作用への不安が強い フィナステリドで効果が不十分/症状などからより強い作用の薬が必要

 

両剤とも推奨度Aですが、整理すると:

  • フィナステリド = 初心者向き・副作用配慮派・コスト重視
  • デュタステリド = 強力・効果重視派・進行度大きい方

 

作用機序の違い:5α還元酵素 I型 vs II型

5α還元酵素とは、テストステロンをAGAの原因物質DHTに変える酵素のことです。AGAの原因物質DHT(ジヒドロテストステロン)は、テストステロンが5α還元酵素で変換されて生成されます。この酵素にはI型・II型の2種類があり、どちらを阻害するかが両剤の最大の違いです。デュタステリドの方が広範囲かつより強力に作用する一方、その分副作用がやや生じやすいとされています。

フィナステリドはII型のみを阻害

5α還元酵素 II型は主に頭皮の毛包に多く存在します。フィナステリドはII型を選択的に阻害し、頭皮内のDHT生成を抑えます。

国内臨床試験では48週投与で約58%に頭頂部の毛髪改善が確認されています(出典:PMDA「プロペシア錠 添付文書」)。

メリット

  • 頭皮にターゲットを絞った作用
  • 副作用頻度が低い
  • 半減期が短く副作用が出た時に薬の効果が長時間残らず体内から消失しやすい

 

デメリット

  • I型由来のDHT生成は抑えられない
  • デュタステリドより効果がやや劣る場合あり

 

デュタステリドはI型・II型の両方を阻害

デュタステリドはI型もII型も両方阻害するため、全身のDHTをより広範囲に低下させます。

24週の国際共同比較試験(フィナ1mg vs デュタ0.5mg)では、頭頂部の毛髪数の変化(直径2.54cm円内)がデュタステリド+89.6本 vs フィナステリド+56.5本で、統計学的に有意な差が示されました(出典:PMDA「ザガーロカプセル 添付文書」)。

メリット

  • DHT抑制効果が広範囲で強力
  • 効果実感率が高い
  • フィナステリドで効果不十分な方の選択肢になる

 

デメリット

  • 副作用頻度がやや高い
  • 半減期が長く(3〜5週間)、中止後も体内に残存するため副作用がしばらく続く可能性がある
  • 献血制限が中止後6ヶ月と長い

 

効果の数値比較:48週・24週試験データ

フィナステリドとデュタステリドの24週国際共同試験の毛髪数変化を比較した棒グラフ(デュタステリド+89.6本・フィナステリド+56.5本・プラセボ-4.9本)
図2:24週国際共同試験における毛髪数変化の比較。デュタステリドがフィナステリドを統計学的に有意に上回る結果が示されている(個人差があります)

両剤の効果は複数の臨床試験で比較・検証されています。

フィナステリド 48週投与(国内臨床試験)

  • 投与48週後の頭頂部毛髪改善率:約58%
  • 性機能に関する副作用:1mg投与群で2.9%(プラセボ群2.2%)

 

デュタステリド vs フィナステリド 24週国際共同比較試験

国際共同第II/III相試験では、両剤を直接比較した重要なデータがあります:

指標 フィナステリド 1mg デュタステリド 0.5mg
毛髪数の変化(24週・直径2.54cm円内) +56.5本 +89.6本
毛髪数増加(cm²あたり) ベースライン+α フィナより有意に多い
試験期間 24週 24週

 

効果実感までのタイムライン(両剤共通)

時期 状態の目安
服用開始〜2ヶ月 変化はほとんど感じない・初期脱毛が起こることも
3〜6ヶ月 抜け毛の減少を感じ始める方もいる
6ヶ月 効果判定の最短ライン
12〜18ヶ月 最大効果が安定するピーク期
それ以降 長期維持期

 

両剤とも6ヶ月以上の継続が効果判定の最低ラインです(出典:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」)。

効果に関する注意点:「進行を遅らせる薬」であって「生やす薬」ではない

両剤とも、進行性のAGAの進行を抑えたり遅らせる薬です。何もないところから毛を生やす薬ではありません。

  • 既に毛包の萎縮が進んだ部位の改善には限界あり
  • 早期開始ほど現状維持・改善の可能性が高い
  • 服用中止で3〜6ヶ月で元の進行状態に戻る可能性が高い

 

【監修医師より】

「『どちらが強い薬か』とよく聞かれますが、強さばかりに目を向けるのではなく、自身の体質や症状、副作用のことも含めて総合的に判断することが大切です。最初からどちらか迷われる方には、まず副作用リスクの観点からフィナステリドをご検討いただくことが多く、そして実際に服用してみて効果を実感し、そのまま長期服用していく方も大勢いらっしゃいます。フィナステリドで効果不十分な場合に、強化療法としてデュタステリドへの切り替えを選択肢として残しておけます。」

副作用の比較

副作用 フィナステリド デュタステリド
リビドー減退 1〜5%未満 1%以上(性機能不全として)
勃起機能不全(ED) 1%未満 1%以上(性機能不全として)
射精障害 1%未満 1%以上(性機能不全として)
乳房圧痛・女性化乳房 頻度不明 1%未満
抑うつ気分 頻度不明 1%未満
肝機能障害 頻度不明(重大な副作用) 頻度不明(重大な副作用)

 

図3:フィナステリドとデュタステリドの副作用比較。頻度は各添付文書(PMDA)の記載による

性機能関連の副作用とは、リビドー減退・勃起機能不全(ED)・射精障害など、性機能にかかわる症状のことです。両剤とも性機能関連が代表的な副作用ですが、デュタステリドのほうがやや頻度が高めです。また、抑うつ気分などの気分変調については、本剤との因果関係は明らかではないものの、注意が必要とされています。

フィナステリドの主な副作用

(出典:PMDA「プロペシア錠 添付文書」)

  • リビドー減退:1〜5%未満
  • 勃起機能不全(ED):1%未満
  • 射精障害:1%未満
  • 肝機能障害(AST・ALT上昇):頻度不明(重大な副作用)
  • 抑うつ気分・めまい:頻度不明
  • 乳房圧痛・女性化乳房:頻度不明

 

デュタステリドの主な副作用

(出典:PMDA「ザガーロカプセル 添付文書」)

  • 性機能不全(リビドー減退・勃起不全・射精障害):1%以上
  • 乳房圧痛・女性化乳房:1%未満
  • 肝機能障害・黄疸:頻度不明(重大な副作用)
  • 血管性浮腫:頻度不明
  • 抑うつ気分:1%未満

 

副作用が出やすさで選ぶなら

性機能への影響を強く心配される方は、まず頻度が低めのフィナステリドから始めるのが選択肢として一般的です。

副作用への懸念度 推奨される選択
副作用が非常に心配 医師と相談のうえ、フィナステリド 0.2mg からの開始を検討
副作用がやや心配 フィナステリド(通常0.2mgから・上限1mg)
副作用の懸念よりも効果重視 デュタステリド 0.5mg

 

共通して注意すべきこと

PSA値の50%低下

両剤ともPSA値(前立腺がんの指標)を約50%低下させます。前立腺がん検診時は必ず申告してください。実測値の約2倍が真の値の目安です。

女性・小児の取り扱い

デュタステリドは女性・小児が禁忌です。フィナステリドは妊婦・妊娠している可能性のある女性・授乳中の女性への投与が禁忌で、女性・小児への適応はありません。フィナステリドは錠剤が粉砕・破損した場合、デュタステリドはカプセルから薬剤が漏れた場合に、妊娠中の女性や小児が触れないよう注意が必要です(出典:PMDA 各製剤の添付文書)。子どもの手が届かない場所に保管してください。

重大な副作用:見逃さないサイン

  • 倦怠感・黄疸・皮膚黄染 → 直ちに服用中止+医師受診(肝機能障害)
  • 顔・舌・喉頭の腫脹、呼吸苦、強い搔痒感、強い腹痛や吐き気 → 救急受診(血管浮腫・アナフィラキシー)
  • 抑うつ気分が2週間以上持続 → 医師相談

 

副作用が気になる場合の選択肢

両剤とも、副作用が気になった場合は中止や変更が可能です。

  • 用量調整:フィナステリド 1mg → 0.2mg(48週改善率約54%)
  • 薬剤変更:フィナ ⇔ デュタの切り替え
  • ミノキシジル外用への切り替え:5α還元酵素阻害ではない選択肢

 

緊急な場合を除き自己判断で中止せず、医師にご相談ください。

用法・用量の違い

項目 フィナステリド デュタステリド
用量(添付文書) 1日1回 0.2mg〜1mg 1日1回 0.1mg〜0.5mg
形状 フィルムコーティング錠 軟カプセル剤
服用タイミング 食事の有無問わず 食事の有無問わず
噛む・割る 可(推奨せず) 不可(カプセル)

 

どちらも毎日同じ時間に服用するのが効果安定の鍵です。

飲み忘れた場合の対応

  • 当日中に気づいた → 服用OK
  • 翌日に気づいた → スキップして次の通常量のみ
  • 2回分まとめ飲みは厳禁

 

半減期の差で対応が異なる側面

項目 フィナステリド(半減期6〜8h) デュタステリド(半減期3〜5週間)
1日飲み忘れ 血中濃度が下がる ほぼ影響なし
1週間飲み忘れ 効果が落ちる やや低下
1ヶ月飲み忘れ 効果ほぼ消失 まだ体内に残っているものの、効果はかなり低下している

 

フィナの方が毎日の習慣化がより重要と言えますが、どの治療薬も服薬が不規則になると、効果が不安定・不十分になる場合があります。

献血制限の違い:1ヶ月 vs 6ヶ月

献血制限とは、服用中および中止後の一定期間、献血ができないという決まりのことです。献血した血液が妊婦に輸血されると、含まれる薬の成分が男児胎児の外性器発達に影響するリスクがあります。そのため両剤とも献血制限があります。

項目 フィナステリド デュタステリド
服用中 献血禁止 献血禁止
中止後 1ヶ月間禁止 6ヶ月間禁止
完全消失の目安 数日 約6ヶ月

 

献血を予定している場合の注意

  • 服用開始前に医師に伝える。献血を優先する場合は、献血実施後から服用開始を検討できる
  • 服薬中の場合は所定の休薬期間を守ることで献血が可能になるため、希望する方は事前に必ず申告・相談を
  • デュタステリドの場合、中止しても半年は献血不可

 

妊娠を希望する場合

妊活を考えるカップルは、男性側の体内残存と性機能、精液への影響を考慮し、中止後も間隔を空けてから妊活を開始する事が勧められます。また、治療開始前であれば、妊活のスケジュールやご自身とパートナーの希望、AGA治療の優先度などから個別の治療計画を一緒に考えていく事が大切なので必ずご相談いただきたいです。

  • フィナステリド:中止後1ヶ月以上
  • デュタステリド:中止後6ヶ月以上

 

フィナステリドからデュタステリドへの切り替えタイミング

切り替えとは、フィナステリドで効果が不十分な場合に、より広く5α還元酵素を阻害するデュタステリドへ変更することです。「フィナステリドで効果が不十分」と感じる方は、デュタステリドへの切り替えが選択肢になります。

切り替えを検討する目安

以下のいずれかに該当する場合、切り替えを医師と相談する価値があります:

  • フィナステリドを6ヶ月以上継続したが改善を実感できない
  • 写真記録で毛髪密度の変化が小さい
  • 進行度がハミルトン分類V以上(広範囲)
  • 副作用が生じる可能性はあるが、許容できる範囲

 

切り替えの方法

フィナとデュタは同系統の薬なので、医師の判断のもとで、原則として翌日から切り替え可能です。

標準的な切り替えフロー

  1. 医師に「フィナステリドで効果が不十分なので切り替えたい」と相談
  2. デュタステリドの説明・同意書
  3. 翌日からデュタステリド 0.5mg 開始
  4. 1〜3ヶ月後に再診で経過確認
  5. 6ヶ月時点で写真比較・効果判定

 

ただし切り替えのタイミングや用量調整は、個別の経過や状況などによって異なり、場合によっては切り替えが勧められないケースもあります。自己判断ではなく医師の指示で行ってください。

切り替えに伴う注意点

  • 副作用の頻度がやや上昇する可能性(添付文書の区分:リビドー減退1〜5%未満 → 性機能不全1%以上)
  • 献血制限が1ヶ月 → 6ヶ月に延長
  • 月額費用がやや上昇
  • 効果実感までは新たに3〜6ヶ月必要

 

逆方向(デュタ → フィナ)の切り替え

副作用が出てフィナステリドに戻すケースもあります。この場合:

  • デュタ中止後、医師の判断のもとで翌日からフィナを開始可能
  • ただし体内のデュタは6ヶ月かけて消失するため、初期は副作用が継続する可能性
  • 効果はデュタより緩やかになる可能性

 

【監修医師より】

フィナステリドで効果の実感が不十分であった方が、デュタステリドへ切り替えて改善するケースがあります。ただし、フィナステリドで効果が十分実感できる方も多く、副作用など注意事項、費用の増加も考慮が必要なので、「どちらが上」という話ではなく、ご自身のライフスタイルや優先事項を医師に伝えることが、薬選びの近道です。

併用は可能?——ミノキシジル外用との組み合わせ

フィナステリド + デュタステリド の併用はNG

併用とは、複数の治療薬を同時に使うことです。同じ系統どうしか、作用の異なる薬どうしかで可否の判断が変わります。同系統の薬剤(どちらも5α還元酵素阻害薬)のため併用は推奨されません。どちらか一方を選んで服用していきます。

理由:

  • 効果は重複しても向上しない
  • 副作用リスクは累積する可能性
  • 添付文書でも併用は想定されていない

 

フィナステリド or デュタステリド + ミノキシジル外用 = 推奨

作用機序、効果が異なる組み合わせなので、相乗効果が期待できる可能性があります。

薬剤 作用
フィナ/デュタ(内服) DHT産生を抑制(根本原因に作用)
ミノキシジル外用5%(外用) 毛包への血流を促進して活性化・発毛・育毛を促す

 

併用のメリット

  • 作用機序が補完的で相乗効果
  • 進行度が大きい方、特に改善したい部位がある方などに推奨
  • 両者とも推奨度A

 

併用の注意点

  • 費用が上がる(月額 5,000〜10,000円増)
  • ミノキシジル外用の初期脱毛(2〜8週)を経験する可能性
  • 頭皮のかゆみ・かぶれの可能性

 

内服中止後にミノキシジル外用のみで継続

副作用で内服を中止する場合、ミノキシジル外用は作用機序が異なる為、継続の選択肢になります。

服用中の方のPSA値への影響(共通)

両剤ともPSA値の50%低下という重要な特性があります。

PSA検査とは

PSA(前立腺特異抗原)は前立腺がんの早期発見に使われる血液検査の指標です。年齢別の基準値を超えると精密検査が推奨されます。

両剤共通の影響

両剤とも服用6ヶ月以上でPSA値が約50%低く測定されます。これは添付文書(PMDA)に明記された重要な特性です。

検診時の正しい対応

  • 検査前に担当医に「フィナステリド/デュタステリドを服用している」と申告
  • お薬手帳を持参
  • 検査値を約2倍に補正して評価してもらう
  • 可能なら服用前のベースラインPSA値を検査して把握しておく

 

検診頻度の目安

  • 50歳以上:年1回のPSA検査を推奨
  • 40歳以上で前立腺がんの家族歴あり:早期から検診検討

 

【監修医師より】

50代以降の患者さんや前立腺がんのリスク因子のある患者さんには、フィナステリドやデュタステリド服用中と自己申告した上で積極的に前立腺がん検診を受けるようお願いしたいと思います。服用中はPSA値が実測の約半分で出るため、検診時に申告しないと「異常なし」と判定されて見落とすリスクがあります。年1回の検診と申告を習慣にしておくと、長期服用の安心感が違います。

ありがちな飲み方の落とし穴4つ

両剤に共通する「効果が出にくくなる」失敗パターンです。

① 3ヶ月で効果がないと判断して中止(最多)

両剤とも効果判定の最短ラインは6ヶ月。3〜4ヶ月は早すぎるタイミングです。

解決策

  • 月1回・同じ条件で頭部写真撮影
  • 6ヶ月時点で写真比較
  • 主観だけでなく客観的記録を残す

 

② 自己判断で減量・中止

副作用が怖い、効果が十分だと判断した、長期的な治療だという認識がないなどの理由から、自己判断で 1mg → 半錠 等に減量するケース。減量や中止を慎重に行わないと、せっかく効果が現れていたのに失ってしまったり、継続により副作用が落ち着き、効果が得られた可能性を逃してしまう場合もあります。減量や中止を考えるときは、医師にご相談ください。

ノセボ効果に注意

「副作用が出るかも」という不安自体が、症状を感じやすくする現象。過度な不安がなく冷静な状態であれば副作用が気にならず、そのまま治療を継続できていたかもしれないといったことが起こり得ます。ただし、実際に気になる症状が現れた場合は自己判断せず、医師にご相談ください。

③ 2錠まとめて飲む

飲み忘れの補填で「今日2錠」は副作用リスクを高めるだけで効果は早まりません。1日1錠の原則を厳守してください。

④ デュタの献血制限を知らずに困る

デュタステリドは中止後6ヶ月献血不可。フィナの1ヶ月とは大きく違います。

  • 治療開始前に確認
  • 献血を予定している方は医師に伝える

 

【監修医師より】

副作用を漠然と心配したり、治療効果が十分だと自己判断し、服薬内容を独断で変える方が見受けられますが、まず医師に話してください。相談なく減薬・中止してしまうと、それまでの治療効果を維持出来なかったり、失われてしまう事に繋がりかねません。そのように自己判断してしまう根本原因こそ、その多くは診療の場で解決できることです。

費用の詳細

自由診療とは、健康保険が使えず費用が全額自己負担となる診療のことです。両剤とも自由診療のため、健康保険は適用されません。先発品と後発品(ジェネリック)で費用差が大きくなります。

フィナステリドの費用

種類 規格 月額目安(税込)
先発品(プロペシア) 1mg 約7,000〜8,500円
後発品(ジェネリック) 1mg 約2,000〜4,000円
後発品(ジェネリック) 0.2mg 約1,500〜3,000円

 

デュタステリドの費用

種類 規格 月額目安(税込)
先発品(ザガーロ) 0.5mg 約8,000〜11,000円
後発品(ジェネリック) 0.5mg 約3,000〜6,000円
後発品(ジェネリック) 0.1mg 約2,500〜5,000円

 

年間ベースの試算(ジェネリック)

薬剤 月額 年間 5年間
フィナステリド 1mg 3,500円 42,000円 210,000円
デュタステリド 0.5mg 4,500円 54,000円 270,000円
差額 +1,000円/月 +12,000円/年 +60,000円/5年

 

5年で約6万円の差。デュタステリドの方が1割強高めです。

コスト最適化のコツ

  • 後発品(ジェネリック)を選ぶ:効果同等で半額以下
  • オンライン診療を活用:通院の交通費がかからない。定期便の有無や割引はクリニックごとに異なる
  • ミノキシジル外用との併用:相乗効果でコスパ向上

 

【監修医師より】

「費用が不安で中断してしまう」ケースが意外と多いです。後発品でも先発品と同等の効果が期待できますので、予算としても無理のない治療内容で中長期的な継続可能性を優先した方針をとることが多いです。

よくある質問

Q. デュタステリドとフィナステリドはどちらを選べばよいですか?

A. 初めての治療・副作用やコストを抑えたい方はフィナステリドから、より強い効果を求める方や進行が早い方・進行度が高い方はデュタステリドが勧められます。本記事の早見表をご参照ください。最終的には医師との相談で決めてください。

Q. フィナステリドからデュタステリドに切り替えるには?

A. 同系統の薬なので原則翌日から切り替え可能ですが、副作用頻度や献血制限が変わるため自己判断ではなく医師に切り替えの相談をしてください。6ヶ月続けて効果が不十分だと判定した時が切り替え検討のタイミングです。

Q. 2種類を同時に飲んでも大丈夫ですか?

A. 同系統の薬剤のため併用は推奨されません。どちらか一方を選んで服用するのが基本です。ミノキシジル外用との組み合わせは作用機序が異なるため、相乗効果が期待できます。

Q. 副作用が心配です。性機能への影響はどのくらい?

A. 添付文書の区分では、フィナステリドはリビドー減退が1〜5%未満、勃起機能不全・射精障害が1%未満です。デュタステリドは性機能不全(リビドー減退・勃起不全・射精障害)が1%以上とされています。気になる症状が出た場合は早めに医師へご相談ください。症状を評価しながら対処法を一緒に考えられます。

Q. デュタステリドを飲んでいるのに薄毛が進むのは?

A. 効果を実感できるまで6ヶ月以上かかることもあります。服用直後は「初期脱毛」と呼ばれる一時的な抜け毛増加が起こることも。判断は6ヶ月以降に行ってください。

Q. フィナステリドは10年後も効果が続きますか?

A. 日本皮膚科学会のガイドラインで紹介されている国内の観察研究では、5年継続で約99%が現状維持または改善と報告されています。服用を中止すると3〜6ヶ月で効果が失われます。10年継続データは限定的ですが、5年データからは長期的な維持も期待できる可能性があります。

Q. 50代ですが、両剤とも服用できますか?

A. 服用可能ですが、両剤ともPSA値が約50%低下するため、前立腺がん検診時には必ず担当医に服用中であることを申告してください。実測値の約2倍が真のPSA値の目安です。

Q. 献血したいのですが、いつから可能ですか?

A. フィナステリドは中止後1ヶ月、デュタステリドは中止後6ヶ月は献血不可です。献血を予定している方はなるべく早い段階で医師に伝えてください。

Q. ジェネリックと先発品で効果は違いますか?

A. 有効成分の種類、含有量が同一なので、治療効果・副作用の内容に本質的な差は無いと考えられます。錠剤のデザインや添加物の違いで使用感(飲みやすさ・味)がわずかに異なる場合がありますが、医学的にはどちらを選んでもOKです。費用面でジェネリックがおすすめです。

まとめ

フィナステリドとデュタステリドはどちらも推奨度Aの主力AGA治療薬ですが、最大の違いは阻害する5α還元酵素の範囲にあります。

  • フィナステリド:II型のみ阻害/副作用少なめ/費用安め/半減期短い → 初心者・副作用配慮派
  • デュタステリド:I型・II型両方阻害/より強力/半減期3〜5週間 → 効果重視派・フィナステリドで効果が不十分な方・進行度が高い方
  • 共通:6ヶ月以上の継続が効果判定/前立腺がん検診を受ける方はPSA50%低下の可能性から必ず申告
  • 切り替えは医師相談で行う(フィナ → デュタは翌日から可能)
  • 併用:両者の併用はNG/ミノキシジル外用との組み合わせは推奨
  • 献血制限:フィナ1ヶ月 vs デュタ6ヶ月(重要な違い)
  • 費用:フィナ 月3,500円〜/デュタ 月4,500円〜(ジェネリック)

 

ご自身の進行度・体質・優先事項・ライフスタイルを医師に伝えて、最適な薬剤を一緒に選んでください(※効果・副作用には個人差があります)。

参考文献

すべて公的機関の一次資料です(最終確認:2026-06-05)。

 


最終更新日: 2026-10-07

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