彼女が生理のときに男性ができること|気づかいの基本

監修:原野 尚美 医師
この記事の監修医師
原野 尚美 医師
産婦人科専門医
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【監修医師より】

「彼女が生理のとき、どう接していいか緊張する…」なんて悩んでいませんか?

産婦人科の診察室では、患者さんご本人とお話しすることはあっても、パートナーの男性とお話しする機会はなかなかありません。だからこそ、「みんないったいどうしてるんだろう?」と気になりますよね。

そう思ってこの記事を開いてくださったこと自体が、すでに彼女への大きな思いやりだと思います。

生理のしんどさは人それぞれ。特別なサプライズや完璧な正解を探すよりも、「今日は無理しないでね」と彼女のペースを丸ごと受け止めてあげるだけで十分救われるものです。まずは気負わず、ふたりらしい空気感を大切にしてみてくださいね。

目次

この記事でわかること

  • 生理のとき彼女の体に起きていること
  • 痛みだけではない、だるさや気分の落ち込みなどの不調
  • 気づかいの基本「聞く・任せる・無理をさせない」
  • 避けたい言動と、かける言葉の例
  • 予定・デート・LINEの考え方
  • 内閣府の調査でわかる男性側の「知らない」と、PMSの基礎

 

彼女が生理のとき、何をすればいいのか分からず戸惑うのは、ごく自然なことです。生理は男性の体には起こらないため、つらさを想像しにくいのは当然です。

この記事では、彼女が生理のときの気づかいの基本を整理します。根拠にしたのは、こども家庭庁・厚生労働省・内閣府・日本産科婦人科学会などの公的な資料です。軸になるのは「聞く・任せる・無理をさせない」の3つです。避けたい言動、予定やLINEの考え方、男性側の「知らない」の現状もあわせて解説します。

生理で彼女の体に起きていること|出血は3〜7日、つらさは人と月で違う

生理(月経)とは、約1ヶ月の間隔で起こり、3〜7日続く子宮内膜からの周期的な出血のことです。周期や日数、出血の量には個人差があります(出典:千葉市、日本産婦人科医会)。

つらさの程度も、人によって大きく違います。日本産科婦人科学会が制作した健康手帳「HUMAN+」によると、痛みは軽い人も強い人もいます。同じ人でも、痛い月と痛くない月があります。「先月は平気だったのに、今月は寝込んでいる」ことも、不思議ではありません。

痛みは外から見えません。他の人と比べることも、客観的に評価することも難しいと、厚生労働省のサイトは説明しています(出典:厚生労働省 ヘルスケアラボ)。「昨日は元気そうだったから今日も大丈夫」という見立ては、当てになりません。

日常生活に支障が出るほどの症状は、月経困難症と呼ばれ、治療の対象です(出典:厚生労働省 ヘルスケアラボ、日本女性心身医学会)。詳しくは月経困難症とはどんな状態かをご覧ください。

痛みだけではない|だるさ・気分・出血量の困りごと

生理に伴う不調は、痛みだけではありません。こども家庭庁のサイトは、月経困難症の主な症状として、下腹部痛・腰痛のほか、腹部膨満感、吐き気、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、イライラ、下痢、憂うつを挙げています。

内閣府の調査でも、痛み以外の不調が数字に表れています。令和5年度の「男女の健康意識に関する調査」(インターネット調査、20〜60代の2万人)の結果です(Q40)。月経がある(またはとまっている)女性5,466人に、不調が生活にどの程度支障になっているかを尋ねています。

月経に関わる不調 支障がある(計) うち「かなり支障がある」
月経痛(下腹部の痛み・腰痛・頭痛など) 72.9% 15.3%
月経中の体調不良(だるさ・下痢・立ちくらみなど) 69.7% 15.7%
月経中のメンタルの不調 64.1% 15.8%
月経量が多い 57.0% 12.8%

 

表:月経に関わる不調で生活に「支障がある」と答えた女性の割合(出典:内閣府「令和5年度 男女の健康意識に関する調査」Q40)

「支障がある(計)」は、「少しは支障はある」「ある程度支障がある」「かなり支障がある」の3つの回答を合わせた割合です。強い症状で寝込んでいる人の割合ではありません。そのうえで、痛み以外の体調不良やメンタルの不調でも、痛みに近い水準で支障を感じていることが読み取れます。

生理のころに、彼女がずっと寝ている場面もあるでしょう。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、月経痛が睡眠に悪影響を及ぼすことと、月経前の時期には日中の眠気が強まりやすいことを説明しています。生理中の眠気の理由を、一つに決めることはできません。

怠けていると決めつけず、「体調はどう?」と気づかうところから始めましょう。

彼女が生理のときの基本は「聞く・任せる・無理をさせない」

彼女が生理のときの気づかいは、「聞く」「任せる」「無理をさせない」の3つが土台になります。特別なことを考える前に、まずこの3つを押さえてください。

「HUMAN+」の男性向けの欄には、女性の月経についての理解と思いやりを持った対応が大切だと書かれています。

彼女が生理のときの気づかいの基本。「聞く」「任せる」「無理をさせない」の3つを、短い言葉とアイコンで示した図
図1:彼女が生理のときの気づかいの基本は「聞く・任せる・無理をさせない」の3つ

  • 聞く:「体調は大丈夫?」と気づかいます。東京都のサイトも、体調が悪そうな相手には、生理かどうかに関係なくそう聞くとよいとしています。「何かしてほしいことはある?」と続け、答えなくてもいいよ、と添える方法もあります
  • 任せる:してほしいことも、してほしくないことも、人によって違います。「ひとりで休みたい? そばにいたほうがいい?」と選択肢を渡し、本人に決めてもらいます
  • 無理をさせない:予定や家事の負担を軽くします。「今日はやめておこう」と彼女が言いやすい雰囲気を心がけます

 

何もしないことが、その日の気づかいになることもあります。そっとしておいてほしい日に、あれこれ世話を焼くと、負担になる場合があります。

ここに挙げた行動は、公的な資料に一覧があるものではなく、考え方をもとにした例です。何が助けになるかは人によって違うため、迷ったときは彼女に聞きましょう。

避けたい言動|「生理なの?」と聞かない・気持ちの問題にしない・周囲に話さない

避けたいのは、「生理なの?」と聞くこと、「気持ちの問題」と決めつけること、本人の了承なく周囲に話すことの3つです。生理の話をどう扱うかは、本人が決めることだからです。

「生理なの?」と聞かない

東京都のサイト「TOKYO YOUTH HEALTHCARE」(医師が監修)は、こちらから「生理なの?」と聞くのはNGとしています。生理の話題はタブーではありません。ただ、生理中だと伝えたいかどうかは人それぞれです。自分から言わない人に、あえて聞く必要はないという考え方です。

体調が悪そうな相手には、「体調は大丈夫?」と聞くのが基本です。

「気持ちの問題」と決めつけない

月経前の不調は、本人の意思でコントロールすることが難しいとされています(出典:こども家庭庁)。「HUMAN+」にも、月経前の不調がある女性が「さぼっている」「集中できていない」と誤解されることがある、と書かれています。

「生理のせいでしょ」「気の持ちようだよ」は、つらさを軽く扱う言葉です。「ほかの人は平気なのに」と比べるのも避けましょう。

本人の了承なく周囲に話さない

「HUMAN+」には、男性に月経であることを悟られたくないという羞恥心を持つ女性もいる、とあります。一方で、月経は毎月起こる自然な現象で、恥ずかしいことではないとも書かれています。

恥ずかしいことではなくても、誰に伝えるかは本人が決めることです。友人や家族、SNSなどで「今、彼女が生理でさ」と話すのは、本人の了承がない限り控えましょう。

周期の記録は本人のもの

「彼女の周期を把握しておくべきか」と迷う男性もいるでしょう。公的な資料が紹介している月経周期や症状の記録は、本人が自分の体調を知るためのものです。パートナーが把握や管理をするものとしては、書かれていません(出典:こども家庭庁、厚生労働省の睡眠ガイド、日本産科婦人科学会)。

彼女が共有してくれたときは、「教えてくれてありがとう」と受け止め、予定の参考にします。それで十分です。

かける言葉の例|避けたい言い方と言い換え

かける言葉に、決まった正解はありません。次の表は、ここまでの考え方をもとにした編集部の例で、公的な資料に一覧があるものではありません。

場面 避けたい言い方 かけやすい言葉
体調が悪そう 「生理なの?」 「体調は大丈夫?」
つらそうにしている 「気の持ちようだよ」 「つらいね。無理しないでね」
予定を断られた 「楽しみにしてたのに」 「わかった。また今度ね」
何も言ってくれない 「なんで言ってくれないの?」 「言いたくなければ大丈夫。しんどいときは教えてね」

 

表:避けたい言い方と、かけやすい言葉の例(編集部の例)

予定・デート・連絡の考え方|本人の体調と気持ちが最優先

予定・デート・連絡の基本は、本人の体調と気持ちを最優先にすることです。約束していても、当日の状態で変えてよいという余地を最初から残しておくと、話が進めやすくなります。

デートの予定

「無理しなくていいよ。延期でも、短い時間でも大丈夫」と、選択肢を渡します。断られたときは、理由を問いただしません。生理中だと伝えたいかどうかは、本人が決めることだからです。「楽しみにしていたのに」と責める言い方も避けましょう。

会う場合は、座って休める場所や、トイレに行きやすい場所を選ぶ方法もあります(編集部の例)。

内閣府の調査に、職場で月経に関して困った経験を尋ねた設問があります(女性、複数回答)。「経血の漏れが心配で業務に集中できない」は24.5%、「生理用品を交換するタイミングを作りにくい」は20.6%でした。職場の困りごとを尋ねた調査で、外出先での困りごとを調べたものではありません。ただ、休める場所やトイレの近さを気にかける参考にはなります。

連絡(LINE・電話)

体調が悪そうなときの連絡は、短く、返信を求めない方法もあります。たとえば「体調どう? 返信はいらないよ」のような一言です。返事が遅くても、催促したり「既読なのに」と責めたりするのは避けましょう。電話は、話せる状態かを先に聞きます。

スキンシップ

手をつなぐ、ハグをするなど、からだの触れ合い全般は、その日の体調と気持ちが最優先です。触れてほしい日もあれば、そっとしておいてほしい日も。断られたときは、自分が否定されたと受け取らず、「わかった」と受け止めましょう。

男性側の「知らない」は数字にも表れている|内閣府の調査

生理についての知識に男女の差があることは、内閣府の調査でも示されています。知らないことは責められることではありません。ただ、差があると知ることが、彼女のつらさを想像する第一歩になります。

先ほどの調査は、20〜60代の男女2万人が回答したインターネット調査で、全国の縮図とは限りません。同じ調査の「月経(生理)に関してイメージするものを全てお選びください」という設問(Q38、複数回答)では、次の差がありました。

  • 「生理痛は多くの女性が感じている症状である」は、女性47.1%、男性27.1%
  • 「月経に関する精神的な不調は多くの女性が感じている」は、女性43.3%、男性21.8%
  • 「あてはまるものはない」は、女性23.4%、男性51.3%

 

彼女が生理のことをどれだけ知っているかを示す内閣府調査の棒グラフ。月経のイメージに「あてはまるものはない」を選んだ割合は、女性23.4%、男性51.3%
図2:月経のイメージ(複数回答)の男女差(出典:内閣府「令和5年度 男女の健康意識に関する調査」Q38。20〜60代・インターネット調査)

選択肢には、一般に正しいとされる内容と、正しくないとされる内容が並んでいます。「あてはまるものはない」を選んだ男性は半数を超え、女性の2倍以上でした。

別の設問(Q44)では、月経に関わる不調が仕事や家事・育児・介護にどの程度支障になると思うかを尋ねています。男性の21.1%は、「月経自体がどのようなものかよくわからない」を選びました。

男性が自分から公的な資料などで知っておくことが、彼女の負担を増やさないことにつながります。「知らないこと」を、彼女に一から説明してもらう必要はありません。

生理前の不調(PMS)は、生理中とは別のタイミング

PMS(月経前症候群)は、生理が始まる前の3〜10日ほどに出る心と体の不調です。生理が始まると、軽くなったり消えたりします。生理中の痛みなどとは、症状が出る時期が違います(出典:こども家庭庁、日本産科婦人科学会)。

症状は、イライラ、気分の落ち込み、不安、眠気、集中力の低下、だるさ、頭痛、むくみ、お腹や乳房の張りなど、人によって様々です(出典:日本産科婦人科学会)。

こども家庭庁のサイトは、パートナーの心がまえとして次を挙げています。症状に個人差があることと、気持ちで解決できるものではないことを理解し、寄り添うことです。

イライラが高じてパートナーに当たってしまい、本人にはその自覚がないことが多いものです(出典:厚生労働省 ヘルスケアラボ)。当たられる男性が、戸惑ったり傷ついたりするのは自然なことです。

あなたが我慢し続けることを求める話ではありません。その場では言い返さず、少し距離を置き、落ち着いたころに責めずに気持ちを伝える方法もあります。公的な資料に書かれた方法ではなく、状況によって合う・合わないがあります。

つらさが強く、日常生活に支障が出るときは、婦人科に相談することが大切です。こころの症状が特に重い場合は、月経前不快気分障害(PMDD)と診断されることもあります(出典:日本産科婦人科学会)。

痛みが強いとき・職場・ピルのことは別の記事で

この記事では、基本の気づかいを扱いました。ここから先の話題は、別の記事や資料で確認できます。

  • 痛みが強い日:痛みが強い日の関わり方と、受診の勧め方で解説しています。受診するかどうかを決めるのは本人で、急かさずに心配を伝える形を紹介しています
  • 職場:生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求できる、「生理休暇」という制度があります(労働基準法第68条)。使うかどうかも、本人の判断です
  • ピル:彼女がピルを飲んでいる、または飲み始めたときの接し方は、彼女がピルを飲み始めたときの基礎知識で解説しています

 

よくある質問

Q. 彼女に「生理なの?」と聞いてはいけませんか?

A. こちらから聞くのは避けましょう。東京都のサイトは、「生理なの?」と聞くのはNGとしています。生理の話題自体はタブーではありませんが、生理中だと伝えたいかどうかは本人が決めることです。体調が悪そうなときは、「体調は大丈夫?」と聞くのが基本です。

Q. 彼女が生理のことを何も言わないときは、どうすればいいですか?

A. 言わないことを、信頼がないからだと受け取らなくて大丈夫です。男性に生理であることを知られたくない、という気持ちを持つ女性もいます(出典:日本産科婦人科学会が制作した「HUMAN+」)。様子が気になるときは「体調は大丈夫?」と声をかけ、話すかどうかは彼女に任せます。

Q. 生理を理由にデートを断られたら、どうすればいいですか?

A. まず「わかった、無理しないでね」と受け止めましょう。理由を聞き出したり、「楽しみにしていたのに」と責めたりするのは避けます。日程を変える、会う時間を短くする、家で過ごすなど、本人が選べる形を提案する方法もあります。

Q. 生理前にイライラをぶつけられて、つらいときはどうしたらいいですか?

A. 月経前の不調は、本人の意思でコントロールしにくく、自覚がないことも多いものです(出典:こども家庭庁、厚生労働省)。ただ、あなたが我慢し続ける必要はありません。その場では言い返さず、少し距離を置き、落ち着いてから責めずに気持ちを伝える方法もあります。

Q. 生理中に彼女がずっと寝ています。怠けているのでしょうか?

A. 怠けていると決めつけないでください。月経痛が睡眠に悪影響を及ぼすこと、月経前の時期には日中の眠気が強まりやすいことが説明されています(出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」)。生理中の眠気の理由は、一つに決められません。支障が出るほどつらそうなときは、婦人科という相談先があることを伝えてみてください。受診するかどうかは、本人が決めることです。

Q. 彼女の生理周期は、把握しておいたほうがいいですか?

A. 把握しなければならないものではありません。月経周期や症状の記録は、本人が自分の体調を知るためのものとして紹介されています(出典:こども家庭庁、厚生労働省)。彼女が共有してくれたときに、予定の参考にする程度で十分です。確認を求めたり、管理しようとしたりするのは避けましょう。

まとめ

彼女が生理のときは、聞く・任せる・無理をさせないの3つを土台に、その日の体調と気持ちを最優先にしてください。内閣府の調査でも、痛み以外の不調やメンタルの不調で支障を感じる女性の割合は、痛みに近い水準でした。

避けたい言動に共通するのは、「本人が決める」ことを守る点です。生理だと伝えるかどうか、記録するかどうか、受診するかどうかは、彼女が決めることです。

日常生活に支障が出るほどのつらさは、婦人科で相談できます。そばで気づかう姿勢が、その一歩を支えます。

【監修医師より】

生理のつらさは目に見えないからこそ、比べて分かってあげるのは難しいもの。だからこそ、完璧な対応を目指す必要はまったくありません。「今日はゆっくりしようか」と、気負わず寄り添う姿勢だけで十分です。 うまくいかない日があっても、思いやりの気持ちは必ず彼女に届いていますよ。 もし「あまりにも生活に支障が出るほどつらそうだな」と感じたら、いつでも私たち婦人科に頼れるということも、頭の片隅に置いておいてくださいね。

参考文献

公的機関・自治体・学会の資料です(最終確認:2026-09-30)。

 

最終更新日:2026-09-30

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