【監修医師より】
AGA治療専門クリニックで院長として多くの方の治療に携わってきた中で、「飲み薬のどれを選べばいいかわからない」と、ここが一つ悩むポイントになるのだと感じています。フィナステリドとデュタステリドは似ていますが作用の仕組みが異なり、同じ内服薬でも効果の出方や副作用の頻度に違いがあります。どちらが合うかは個人個人によって変わりますので、まずは医師にご相談いただくことをおすすめします。
この記事でわかること
- AGAの飲み薬として承認されている種類(フィナステリド・デュタステリド)の特徴と違い
- 日本皮膚科学会のガイドラインにおける各薬の推奨度と科学的根拠
- フィナステリドとデュタステリドそれぞれの主な副作用と発現頻度
- 効果が出るまでの期間の目安と、正しい効果判定の考え方
- 外用薬との組み合わせで期待できる相乗効果について
- 個人輸入薬に潜むリスクと、医療機関処方を選ぶべき理由
「AGAの飲み薬を調べ始めたけれど、複数あって何が違うのかよくわからない」——そう感じている方は少なくありません。ドラッグストアで目にする外用薬とは別に、内服薬にも複数の選択肢があり、それぞれ作用や副作用の出方が異なります。
どちらも日本皮膚科学会の診療ガイドラインで推奨度A(行うよう強く勧められる)と評価されており、一定の科学的根拠が示されています。
ただし、効果や副作用には個人差があります。また、ネット上には未承認の個人輸入薬に関する情報も混在しており、誤った選択が健康リスクにつながる可能性も考えられます。
この記事では、AGA内服薬の種類ごとの特徴・副作用・効果の目安を、公的ガイドラインと添付文書に基づいて整理します。薬の選択に迷われている方や、副作用が心配で踏み出せない方の判断材料として、ぜひ最後までお読みください。
AGAの飲み薬は3種類

AGAの内服薬として国内で承認されているのはフィナステリドとデュタステリドの2種類です。なお、一部のクリニックでは日本未承認のミノキシジル内服薬が医師の責任のもと処方されるケースがありますが、承認薬とは異なる位置づけです。
フィナステリドとデュタステリドは、日本皮膚科学会の診療ガイドラインで推奨度A(行うよう強く勧められる)と評価されています(出典:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」)。一方、ミノキシジル内服薬はAGA治療薬として日本国内では承認されておらず、日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨度D(行うべきではない)とされています。一部のクリニックで医師の責任のもと処方されるケースがあります。外用薬と比べて副作用のリスクが高くなる可能性があり、服用を検討する際は医師から十分な説明を受けて、内容をよく理解した上で判断をすることが大切です。
3種類の概要
| 薬剤 | 承認状況 | 作用のポイント |
|---|---|---|
| フィナステリド | 国内承認済 | 5α還元酵素II型を阻害し、DHT産生を抑制 |
| デュタステリド | 国内承認済 | 5α還元酵素I型・II型の両方を阻害し、DHT産生を抑制 |
| ミノキシジル内服薬 | 国内未承認 | 血管を拡張させて血流促進・毛包活性化(外用薬と同成分だが全身作用が強い) |
AGAとは、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛包(髪の毛を生み育てる中心的な組織)に作用し、毛髪の成長を妨げることで薄毛が進行する疾患です。フィナステリドとデュタステリドはこのDHTの産生を抑えることで、進行を抑えたり遅らせたりする効果が期待できます。
なお、どちらの内服薬も女性や小児への投与は禁止とされています。男性胎児の外性器形成に影響するリスクがあるためです。詳しくはAGAとはもあわせてご覧ください。
飲み薬の選び方|治療のベースと強化療法
飲み薬の選択は「どちらが絶対によい」ではなく、症状・体質・費用面などを踏まえて医師と相談しながら決めるものです。ここでは選択の考え方を整理します。
治療のベース:フィナステリド
副作用の頻度がデュタステリドよりやや低い傾向にあり、AGA治療の入り口として選択しやすい薬剤です。
後発品(ジェネリック)の選択肢が多く、費用を抑えられる点も特徴のひとつです。副作用の詳細はフィナステリドの副作用で解説しています。
強化療法の選択肢:デュタステリド
デュタステリドは、5α還元酵素のI型とII型の両方を阻害します。フィナステリドよりDHT低下効果が大きくなる傾向があり、国際共同比較試験(24週)では毛髪数の増加においてフィナステリドより統計的に有意な差が示された報告があります。ただし個人差があり、すべての方で同様の結果が得られるわけではありません(出典:PMDA「ザガーロカプセル 添付文書」)。
一方で、副作用の頻度はフィナステリドよりやや高い傾向にあります。また、半減期(薬が体内で半減するまでの時間)が約3〜5週間と長いため、服用を中止してから薬の影響が消えるまでに時間がかかる点も知っておくとよいでしょう。
ミノキシジル外用薬との組み合わせ
フィナステリドまたはデュタステリドと、ミノキシジル外用薬を組み合わせる方法もあります。DHT抑制と血流促進・毛包活性化という異なるアプローチから、相乗効果が期待できます。開始のタイミングや用量は医師の指示に従ってください。
薬の選択で迷ったら
どちらの薬が自分に合っているかは、症状・体質・年齢・費用などによって変わります。自己判断で薬を選ぶのではなく、まず医師に相談することをおすすめします。
3種類の効果の違い

AGA内服薬に共通する効果の特徴は、DHT産生を抑えることでAGAの進行を抑制・遅延させる点です。毛髪状態の改善が認められる場合もありますが、個人差があります。また、具体的な効果には薬剤間で違いがあります。
フィナステリドの効果
フィナステリドの国内臨床試験(48週)では、頭頂部の毛髪状態が「軽度改善以上」が約58%に認められています。ただし「改善」の程度には個人差があり、毛髪量が増える方もいれば、進行が抑えられる程度の方もいます(出典:PMDA「プロペシア錠 添付文書」)。
- 効果発現の目安:服用開始から3〜6ヶ月
- 効果判定の最短期間:6ヶ月以上の継続後に判定可能
- 最大効果が安定するまで:12〜18ヶ月程度
デュタステリドの効果
デュタステリドは、フィナステリドとの国際共同比較試験(24週)で毛髪数の増加においてフィナステリドより統計的に優位な結果が示された報告があります。ただし個人差が大きく、すべての方でデュタステリドの効果がフィナステリドを上回るわけではありません(出典:PMDA「ザガーロカプセル 添付文書」)。効果発現・判定の目安はフィナステリドと同様です。
ミノキシジル内服薬の効果
ミノキシジル内服薬は日本未承認のため、国内での有効性・安全性データは限られています。発毛促進の効果が期待される一方、外用薬と比べて全身性の副作用リスクが高くなる可能性があります。服用を検討する場合は、医師から十分な説明を受けたうえで判断してください。
共通する注意点
どの薬も、服用を中止すると効果は消失し、AGAの進行が再開します。フィナステリドでは中止後、比較的短期間で効果が消失するとされており(出典:PMDA「プロペシア錠 添付文書」)、消失までの期間には個人差があります。デュタステリドは半減期が長いため徐々に消失します。よって、治療効果が実感できた後も継続的な服用が前提となる治療です。治療を続けながら、定期的に医師と経過を確認することをおすすめします。
3種類の副作用と注意点
AGA内服薬には、注意すべき副作用が報告されており、症状や頻度は薬剤や個人によって異なります。正しく理解したうえで服用することが、長期治療を続けるうえで大切です。
フィナステリドの主な副作用
添付文書によると、主な副作用の症状と頻度は以下のとおりです(出典:PMDA「プロペシア錠 添付文書」)。
| 副作用 | 頻度 |
|---|---|
| リビドー減退(性欲減退) | 1〜5%未満 |
| 勃起機能不全 | 1%未満 |
| 射精障害 | 1%未満 |
| 肝機能障害 | 頻度不明(重大な副作用) |
| 抑うつ気分 | 頻度不明(因果関係は明らかではないが注意とされている) |
性機能への影響が現れた場合、症状が一時的に収まることもありますが、続く場合は減薬・中止が必要になることがあります。いずれの場合も自己判断で中断せず、まず医師にご相談ください。個人差があります。また、重大な副作用として肝機能障害が記載されており、定期的な血液検査での確認が推奨されます。
デュタステリドの主な副作用
デュタステリドはフィナステリドと比べて、全体的な副作用頻度がやや高い傾向にあります(出典:PMDA「ザガーロカプセル 添付文書」)。
| 副作用 | 頻度 |
|---|---|
| 性機能不全(リビドー減退、勃起機能不全等) | 1%以上 |
| 乳房圧痛・女性化乳房 | 1%未満 |
| 肝機能障害・黄疸 | 頻度不明(重大な副作用) |
| 血管性浮腫 | 頻度不明 |
個人差があります。気になる症状が現れた場合は、自己判断で中断せず医師にご相談ください。
ミノキシジル内服薬の副作用
皮膚症状がメインの外用薬と比べて全身性の副作用(動悸・むくみ・めまいなど)の可能性が高まります。また、日本未承認のため副作用救済制度の対象外となる点も知っておく必要があります。
50代以上の方への注意
フィナステリド・デュタステリドはいずれも、PSA値(前立腺がんの指標となる血液検査の値)を低下させ、結果、検査値が実態より低く出るため、正確な判断が難しくなる可能性があります(出典:PMDA 各製剤の添付文書)。前立腺がん検診を受ける際は、服用中であることを必ず担当医に申告してください。
飲み薬の費用比較
AGA内服薬はいずれも自由診療のため、費用は医療機関によって異なります。ここでは一般的な相場感を整理します。
| 薬剤 | 先発品(月額目安) | 後発品(月額目安) |
|---|---|---|
| フィナステリド | 8,000〜12,000円程度 | 3,000〜6,000円程度 |
| デュタステリド | 10,000〜15,000円程度 | 4,000〜8,000円程度 |
| ミノキシジル内服薬 | 医療機関により異なる | — |
後発品(ジェネリック)は国内で承認された製品であれば有効成分・用量は先発品と同一です。ただし個人輸入品は品質・成分量が保証されないため、費用を抑えたい場合も必ず医療機関で処方された薬を使用してください。
AGA治療は継続が重要とされており、効果の実感まで6ヶ月以上かかる場合があります。月額費用だけでなく、長期にわたる治療と費用の総額を見据えた選択が大切です。また、診察料・処方料が別途かかる場合があります。ミノキシジル外用薬との併用を選んだ場合は、追加分の費用も合わせて確認しておくとよいでしょう。費用の内訳や相場はAGA治療の費用にまとめています。
飲み薬の疑問|切り替え・併用・やめどき
フィナステリドからデュタステリドへの切り替えはできますか?
切り替えは可能ですが、両剤とも5α還元酵素阻害薬のため、併用はできません。切り替えは医師の管理のもとで行ってください。
飲み薬をやめるタイミングはいつですか?
服用を中止すると、3〜6ヶ月程度で効果が消失し、AGAの進行が再開する可能性が高いです。治療をやめることも選択肢の一つですが、「やめどき」は自己判断せず、治療を続けながら医師と相談して決めることをおすすめします。個人差があります。
飲み忘れたときはどうすればよいですか?
飲み忘れに気づいた場合の対処法は、添付文書または処方医の指示に従ってください。2回分をまとめて服用すると副作用リスクが高まるため避けてください。デュタステリドは半減期が長い薬剤ですが、飲み忘れを繰り返すと治療効果が低下する可能性があります。飲み忘れが続く場合は医師にご相談ください。毎日同じ時間に服用する習慣をつけることが大切です。
個人輸入薬を使っても大丈夫ですか?
偽造品や品質面での問題があるリスクがあります。特にミノキシジル内服薬は日本未承認のため、副作用救済制度の対象外となります。安全のため、必ず医療機関から処方された薬を選びましょう。
献血への影響はありますか?
フィナステリドは服用中および中止後1ヶ月間、デュタステリドは服用中および中止後6ヶ月間、献血が制限されています。輸血される側、主に妊婦への影響を避けるための措置です。
よくある質問
Q. AGAの飲み薬はどれくらいで効果が出ますか?
A. 服用開始から効果を実感できるようになるまで、3〜6ヶ月が目安とされています(出典:PMDA「プロペシア錠 添付文書」)。抜け毛の減少は比較的早い傾向がありますが、発毛の実感には6ヶ月以上かかることも珍しくありません。ただし、効果判定には継続服用が不可欠です。個人差があります。
Q. フィナステリドとデュタステリドはどちらを選べばよいですか?
A. フィナステリドは5α還元酵素II型のみを阻害し、デュタステリドはI型・II型の両方を阻害します。デュタステリドは国内比較試験で毛髪数増加においてフィナステリドより統計的に優位な結果が示された報告がありますが、個人差があり、すべての方で同様の結果が得られるわけではありません(出典:PMDA「ザガーロカプセル 添付文書」)。どちらが合うかは症状や体質によって異なりますので、医師にご相談ください。
Q. AGAの飲み薬は一生飲み続けなければいけませんか?
A. 服用を中止すると、3〜6ヶ月程度で効果が消失し、元の進行状態に戻る可能性が高いです。AGAの進行を抑えるために継続が重要とされていますが、治療期間については治療を続けながら医師とご相談のうえ判断することをおすすめします。個人差があります。
Q. 性機能への影響が心配です。副作用はどの程度ありますか?
A. フィナステリドでリビドー減退が1〜5%未満、勃起機能不全が1%未満、デュタステリドで性機能不全(リビドー減退等)が1%以上と報告されています(出典:PMDA 各製剤の添付文書)。頻度として決して高くはないですが、気になる症状があれば、自己判断でやめるのではなく早めに医師へご相談ください。個人差があります。
Q. ミノキシジル外用薬と飲み薬は一緒に使えますか?
A. フィナステリドやデュタステリドとミノキシジル外用薬は併用が可能です。「DHT抑制」と「血流促進・毛包活性化」という別のアプローチで働くため、相乗効果が期待できます。開始のタイミングは医師の指示に従ってください。
Q. オンライン診療でもAGAの飲み薬を処方してもらえますか?
A. 厚生労働省の指針に基づくオンライン診療において、医師から診察を受けてAGA治療薬を処方してもらう事が可能です。疑問点があれば診療の際に医師へお尋ねください。
Q. AGAの飲み薬に年齢制限はありますか?
A. フィナステリド・デュタステリドともに、小児への投与が禁止されています。一般的には18歳以上〜服用可能が目安となりますが、クリニックごとに決まりが設けられている場合もあります。
まとめ
AGAの飲み薬の中心となるのは、国内承認済みのフィナステリドとデュタステリドの2種類の薬です。どちらも日本皮膚科学会のガイドラインで推奨度A(行うよう強く勧められる)と評価されています。フィナステリドが5α還元酵素II型のみを阻害するのに対し、デュタステリドはI型・II型の両方を阻害し、効果がやや高い傾向がある一方で副作用頻度もやや高めです。
日本未承認のミノキシジル内服薬は、一部のクリニックで処方されるケースがありますが、副作用リスクや副作用救済制度の対象外となる点を十分に理解したうえで判断することが大切です。
服用開始から効果を実感できるまでには概ね3〜6ヶ月を要し、効果判定には6ヶ月以上の継続が必要です。副作用が気になる場合は自己判断で中断せず、早めに医師にご相談ください。治療内容・治療期間については、医師の判断のもとで決定し、治療を進めることが望ましいです。個人差があります。
【監修医師より】
AGAの治療薬は"毎日継続する"ことが何より効果、結果を左右します。服用をやめると、徐々に効果が失われて、元の進行状態に戻ってしまう可能性が高いです。それらをご理解いただいた上で、実際のご自身の治療のイメージ(治療内容、実生活に合わせた服薬スケジュールや治療期間など)を、治療開始の時点で可能な限り具体的に持てていたら、そのこと自体が以降の治療にプラスにはたらいてくれるはずです。
参考文献
- プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg 添付文書(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA))
- ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg 添付文書(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA))
- 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版(公益社団法人 日本皮膚科学会)
- 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)(厚生労働省 医政局総務課)
- オンライン診療の適切な実施に関する指針(厚生労働省 医政局)
- 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(一般公開)(公益社団法人 日本皮膚科学会)
- 医療法
最終更新日: 2026-11-02

