眼瞼下垂を自力で治す方法はある?マッサージ・トレーニング・市販薬

監修:花房 彩 医師
この記事の監修医師
花房 彩 医師
眼科専門医
プロフィール →

【監修医師より】

「眼瞼下垂は、自分で何とかできないだろうか」と考えて、調べる方は少なくないと思います。まぶたの重さや開けづらさを、早く楽にしたいというお気持ちはあると思います。ただ、マッサージやトレーニングで改善することはありません。この記事では、資料に書かれていることと、書かれていないことを分けて整理しました。気になる症状は、自己流で続けず、眼科で相談してください。

目次

この記事でわかること

  • 眼瞼下垂を自力で治す方法が、学会・医会の資料にあるかどうか
  • 眼瞼下垂で起きていること(腱膜のゆるみと、おでこの力で補う動き)
  • マッサージ・トレーニング・市販の目薬について、資料が書いていること
  • 予防について、資料が挙げる「起こりやすい背景」
  • 自己流で続ける前に確かめたいことと、受診の目安

 

まぶたが重い。目が開けにくい。そう感じて「眼瞼下垂 自力で治す」と検索した方もいるでしょう。マッサージ、トレーニング、市販の目薬など、方法の多さに迷うかもしれません。

この記事は、方法を紹介するものではありません。日本眼科学会などの資料に、これらの方法がどう書かれているかを確かめ、書かれているとおりに整理しました。

先に結論を書くと、マッサージやトレーニングで、眼瞼下垂が改善することはありません。 マッサージは、基本的に推奨しません。

眼瞼下垂を自力で治す方法は?学会・医会の資料を確認した結果

マッサージやトレーニングでは、眼瞼下垂は改善しません。 日本眼科学会、日本眼科医会、日本眼形成再建外科学会、日本形成外科学会の一般向けページにも、自分で行う治療法は挙げられていません。2026年10月5日に、各ページの本文を確かめました。

資料 治療として書かれていること 自分で行う方法の記載
日本眼科学会「眼瞼下垂」 先天単純性と加齢性は手術で治療する 確認できず
日本眼科医会「眼瞼下垂に悩むかたへ」 多くの眼瞼下垂に対する治療は手術 確認できず
日本眼形成再建外科学会「患者さん用」 後天性の治療は手術 確認できず
日本形成外科学会「加齢性眼瞼下垂」 余剰皮膚切除術、挙筋前転術、前頭筋吊り上げ術 確認できず

 

出典:各機関のページ。表は編集部が資料から整理したものです

自分で行う方法を、治す方法として紹介することはできません。 資料に挙がっていないうえ、マッサージやトレーニングで改善することはないためです。マッサージについては、後ほど説明するとおり、推奨しません。

日本眼科学会は、治療ではまず原因を正しく診断することが重要だと書いています。自分で治す方法を探す前に、原因を確かめることが出発点です。原因ごとの違いは、まぶたが下がる原因と眼瞼下垂の種類にまとめました。

眼瞼下垂を自力で治す方法として検索されるマッサージ・トレーニング・市販の目薬について、マッサージは悪化の要因になるため推奨しない、トレーニングで改善することはない、市販の目薬は効能に眼瞼下垂が確認できない、と整理した図
図1:自力で治す方法として検索される3つと、監修医の見解

眼瞼下垂で起きているのは?腱膜のゆるみと、おでこの力で補う動き

眼瞼下垂とは、まぶたが下がってきて、見にくくなる病態です(日本眼科医会)。後天性で最も多いのは、加齢によるものです。まぶたを上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の腱が伸びて起こると、日本眼形成再建外科学会は書いています。

資料は「腱膜」「腱」の変化を中心に書いている

資料ごとの書き方は、少しずつ違います。

資料 書かれていること
日本眼科医会 加齢などによる眼瞼下垂では、筋肉の力はほぼ正常。筋肉がまぶたに付着する腱の部分が、弱くなったり、はがれたりすることが原因と考えられている
日本形成外科学会 腱膜が加齢でたるむと、筋肉の力が瞼板に効果的に伝わらず、まぶたが上がりにくくなる。皮膚のたるみや筋肉の衰えも原因になる
日本眼科学会(治療指針・医療者向け) 腱膜性眼瞼下垂は、上眼瞼挙筋腱膜のたるみや断裂により、徐々に眼瞼が下垂する
日本眼科学会(一般向け) 加齢性眼瞼下垂が多くを占め、筋肉に加齢による変化が生じることで起こる

 

出典:各機関のページ。治療指針は日眼会誌130:130-1, 2026。腱膜とは、筋肉の端にあって、まぶたの芯(瞼板)につながる腱のことです

加齢性の多くは腱膜の変化で、筋肉を鍛える対象ではありません。 慶應義塾大学病院の患者向け情報は、腱膜性を、腱膜の付着部が少しずれた状態と説明しています。挙筋そのものの運動は、問題ないとしています。

日本形成外科学会は、「筋肉の衰え」も加齢性眼瞼下垂の原因になると書いています。ただ、同じページで治療法として挙げているのは手術です。腱膜を瞼板に縫い付ける手術などで、筋肉を鍛える方法は載っていません。なお、まぶたを上げる筋肉自体が弱くなる「外眼筋の変性」は、別の原因として挙げられています(日本眼科医会)。

おでこの筋肉で、まぶたを補っている状態

眉を上げて目を開けようとするのは、おでこの筋肉(前頭筋)でまぶたを補う動きです。 慶應義塾大学病院の患者向け情報は、まぶたを上げにくいと、無意識にこの筋肉を使うと説明しています。そのため眉が上がり、おでこにしわが寄ります。日本形成外科学会は、頭痛や肩こりの原因になることもあると書いています。

補っている間は、実際の下がり具合が、見た目だけでは分かりにくくなります。

眼瞼下垂のマッサージ・トレーニングが検索される理由と、自己流の注意点

マッサージやトレーニングは、眼瞼下垂の改善につながりません。 「筋肉を鍛えれば戻るのでは」「血行をよくすれば軽くなるのでは」と考えるのは、自然なことです。手術が中心と知って、まずは自分でできることを探す方もいるでしょう。

マッサージは、基本的に推奨しません。 後天性の眼瞼下垂(腱膜性眼瞼下垂)の最大の要因の一つとして、まぶたへの機械的な刺激(摩擦・圧力)が挙げられます(出典:監修医)。

自己流で続けるときに、気をつけたい点を3つ挙げます。

注意1:眼瞼下垂に見える別の状態は、治療が違う

日本眼科医会は、下がって見えるのに筋肉や腱には問題がない状態を、「偽眼瞼下垂」と呼びます。状態ごとに、治療の書かれ方は違います。

下がって見える状態 日本眼科医会が書く治療
まぶたの皮のたるみ たるんだ皮の切除
眉下垂(眉が下がった状態) 眉を上げて固定する手術
眼瞼けいれん 通常はボツリヌス毒素の注射やまぶたの手術。動脈瘤が原因の場合は、その治療
甲状腺眼症 状態により、眼を正面に向ける手術、または、大きく開いたほうのまぶたを下げる手術

 

出典:日本眼科医会「眼瞼下垂に悩むかたへ」。表は一部の状態のみで、他にも偽眼瞼下垂の原因は挙げられています

杏林医会誌(医師向けの総説)も、「まぶたが下がった」「眼を開けにくい」という訴えの中に、別の疾患があると書いています。眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、開瞼失行などです。

どの状態に当たるかで、必要な治療が変わります。見分けるには診察が必要です。自分で見て判断しにくい理由は、眼瞼下垂チェックの記事で整理しています。

注意2:神経や筋肉の病気が隠れていることがある

日本眼科学会は、重症筋無力症や動眼神経麻痺などが、まぶたが下がる原因になると書いています。他の眼の症状や全身の症状を伴うことも多いと、日本眼形成再建外科学会は説明しています。自己流の方法を試すうちに、原因を調べる時期が遅れないよう、早めに眼科を受診してください。

注意3:二重に見える、急に下がったときは検査が要る

ものが二重に見える(複視)ときは、すぐに眼科へ(日本弱視斜視学会)。ある日急にまぶたが下がったときは、検査が必要になります(慶應義塾大学病院の患者向け情報)。どちらも、自分で試す場面ではなく、まず眼科で調べる場面です。資料ごとの書き方は、まぶたが下がる原因と受診の目安にあります。

眼瞼下垂の市販の目薬はある?効能・効果から確認

眼瞼下垂を効能・効果とする市販の目薬は、確認できませんでした。 確認に使ったのは、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の「一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索」です。2026年10月5日に、効能・効果に「眼瞼下垂」を含む添付文書を探しました。該当はありませんでした。

市販の目薬の効能・効果には、たとえば、目の疲れ、結膜充血、目のかゆみ、眼瞼炎(まぶたのただれ)などがあります。いずれも眼瞼下垂とは別の症状です。この検索でわかるのは、PMDAに掲載された添付文書の範囲です。販売されている商品をすべて調べたものではありません。

承認された治療薬は、医療用の点眼薬

後天性眼瞼下垂を効能・効果とする医療用の点眼薬は、「アップニークミニ点眼液0.1%」です。2025年12月に承認され、2026年5月に発売されました。医師の診察と処方が必要な医療用医薬品です。PMDAの審査報告書には、本邦において後天性眼瞼下垂に対して承認された医薬品はなかった、と書かれています。

この点眼薬は、保険給付の対象外の自由診療です(電子添文)。適応外の患者と美容目的での使用は、日本眼科学会の治療指針が「使用しないこと」としています。処方するかどうかは、原因の診断を含めて、診察した医師が決めます。使えない人や注意が必要な人は、電子添文に書かれています。詳しくは眼瞼下垂の点眼薬の解説をご覧ください。

眼瞼下垂は予防できる?資料にある「起こりやすい背景」

眼瞼下垂の予防法として、確立したものを示す資料は、確認できませんでした。 資料に書かれているのは、後天性眼瞼下垂が起こりやすい背景です。

背景 資料の書き方 書いた機関
加齢 後天性では加齢性が多くを占める 日本眼科学会
ハードコンタクトレンズの長期装用 装用者に起こりやすい 日本眼科学会(主にハード)。日本眼科医会、日本眼形成再建外科学会も「ハード」と限定
眼の手術後 眼を開ける器械を使った眼の手術を受けた方にも起こりやすい 日本眼科医会。治療指針は内眼手術後を挙げる
緑内障薬の長期点眼後 特にプロスタグランジン点眼の長期使用後に起こりやすい 日本眼科医会

 

出典:各機関のページ。表は編集部が資料から整理したものです。内眼手術は、白内障・緑内障・硝子体などの手術です

眼瞼下垂の予防について、資料が挙げる起こりやすい背景。加齢、ハードコンタクトレンズの長期装用、眼の手術後を並べ、予防法は資料に確認できないことを示した図
図2:資料が挙げる、眼瞼下垂が起こりやすい背景

これらは「起こりやすい背景」であり、避ければ防げる、という意味ではありません。

コンタクトレンズを使っている方は、種類と使用期間を、眼科で伝えてください。レンズの種類にかかわらず、気になる症状や使い方の不安があるときは、眼科で相談してください。緑内障の点眼薬や、眼の手術後の治療は、自己判断で中止しないでください。眼瞼下垂との関連が気になるときも、担当の眼科に相談してから決めてください。

眼瞼下垂の治療は原因で決まる:手術が中心、点眼薬は選択肢の一つ

眼瞼下垂の治療は、診察で原因を診断したうえで決まります。 日本眼科学会は、重症筋無力症は内科的治療としています。動眼神経麻痺とホルネル症候群は、原因を治療することで、眼瞼下垂が改善することがあると書いています。腱膜がゆるむ加齢性などは、手術が治療の中心です。

日本眼科学会の治療指針(医療者向け)は、腱膜性は手術療法が中心としています。そのうえで、点眼薬を「後天性眼瞼下垂に対する非侵襲的な治療オプションとして期待される薬剤」と述べています。

資料が示す治療は、いずれも原因の診断を前提にしています。手術が保険診療の対象になるかどうかの考え方は、眼瞼下垂と保険の考え方で解説しています。

眼瞼下垂で受診する目安と、診察で確かめること

まぶたの重さ、開けづらさ、見えにくさが気になるときは、自己流の方法を試す前に眼科で相談し、原因を確かめてください。 ものが二重に見える、ある日急にまぶたが下がった、というときは、注意3のとおり、まず眼科で調べます。

診察では、これまで試した方法も、遠慮せずに伝えてください。マッサージ、トレーニング、テープなどを、いつからどのくらい続けたかも、あわせてお伝えください。杏林医会誌(医師向けの総説)は、既往歴や服薬歴を組み合わせて原因を調べると書いています。市販の目薬を含め、使っている点眼薬は、名前を控えておくと伝えやすくなります。

診察で医師が何を測り、何を確かめるかは、眼瞼下垂チェックの記事に整理しています。

よくある質問

Q. 目を見開く練習やトレーニングで、まぶたは上がるようになりますか?

A. 練習やトレーニングで、眼瞼下垂が改善することはありません。眉を上げて目を開けようとすると、おでこの筋肉を使います。日本形成外科学会は、その状態では眉の位置が高くなり、額のしわが目立つと書いています。まず眼科で、原因を調べてください。

Q. テープやアイプチでまぶたを持ち上げてもよいですか?

A. 眼瞼下垂への対処として、テープやアイプチを勧める記載は、確認した学会・医会のページにありません。病院のページには、ボツリヌス毒素(ボトックス)の注射後に一時的にまぶたが下がった場合の、テープへの言及があります。ただし、上げすぎると瞬きができず目に傷がつくため、本当に必要なときだけにするよう注意しています(東京大学形成外科)。眼瞼下垂の原因は様々です。自己判断で続けず、眼科で相談してください。

Q. マッサージで、眼瞼下垂が悪化することはありますか?

A. 悪化するという記載があり、マッサージは推奨しません(出典:監修医)。後天性(腱膜性)の眼瞼下垂の最大の要因の一つとして、まぶたへの機械的な刺激(摩擦・圧力)が挙げられます。まぶたが下がる原因には、神経や筋肉の病気もあります(日本眼科学会)。原因が分からないまま続けず、早めに眼科を受診してください。

Q. 眼瞼下垂を放置すると、どうなりますか?

A. 加齢に伴い徐々に進行するものの、程度には個人差があると、国立病院機構 京都医療センターは書いています。一生問題にならない方もいる、という書き方です。症状として挙がるのは、見にくさ、眠そうな様子、肩こり、頭痛、疲れること(日本眼科医会)、視界の狭さ(日本眼科学会)です。進み方は自分では判断しにくいため、放置してよいかは眼科で相談してください。

Q. 若くても、眼瞼下垂になりますか?

A. 若い方でも、眼瞼下垂になることはあります。年齢別の頻度を示した公的な数値は確認できていませんが、資料に挙がる背景は加齢だけではありません。ハードコンタクトレンズの長期装用や眼の手術後に起こりやすいこと、生まれつきの先天性眼瞼下垂があることも書かれています。お子さんのまぶたが下がっているときは、弱視になる危険性があるため、眼科で相談してください(日本眼科学会)。

Q. 市販の目薬で、まぶたの重さは軽くなりますか?

A. 眼瞼下垂を効能・効果とする市販の目薬は、PMDAの検索で確認できませんでした(2026年10月5日)。目の疲れや充血などの目薬は、別の症状のための薬です。後天性眼瞼下垂に承認された点眼薬は、診察を受けて処方される医療用医薬品です。まぶたの重さが気になるときは、まず眼科で原因を調べてください。

Q. 自分でできることは、何もありませんか?

A. マッサージやトレーニングでは、改善しません。できることは、受診の準備です。いつから、片側か両側か、夕方に重くなるかを整理し、使っているコンタクトレンズや点眼薬とあわせて、診察で伝えてください。

まとめ

眼瞼下垂を自力で治すことについて、要点は次のとおりです。

  • マッサージやトレーニングで、眼瞼下垂が改善することはない。マッサージは、まぶたへの摩擦・圧力が腱膜性眼瞼下垂の最大の要因の一つとされるため、基本的に推奨しない
  • 後天性で最も多いのは、腱膜がゆるむタイプ。資料が示す治療は、原因の診断のうえでの手術が中心
  • 眼瞼下垂を効能・効果とする市販薬は、PMDAの検索で確認できなかった。承認された点眼薬は、診察と処方が必要な医療用
  • 予防法として確立したものは、資料にない。起こりやすい背景は、加齢・ハードコンタクトレンズの長期装用・眼の手術後など
  • 二重に見える、急にまぶたが下がったときは、すぐに眼科へ

 

症状が気になるときは、眼科で原因を確かめてから、対処法を相談してください。

【監修医師より】

まぶたの重さや開けづらさを、自分で何とかしたいと思うのは自然なことです。ただ、眼瞼下垂では、筋肉の力そのものより、まぶたを支える腱膜の変化が関わるタイプが多いと考えられています。また、神経や筋肉の病気が隠れていることもあります。自己流で続ける前に、一度、眼科で原因を確かめてください。ものが二重に見える、急にまぶたが下がった、というときは、早めの受診が大切です。

参考文献

 

最終更新日:2026-10-09

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