アップニークとは?眼瞼下垂の点眼薬を電子添文で解説

監修:花房 彩 医師
この記事の監修医師
花房 彩 医師
眼科専門医
プロフィール →

【監修医師より】

「まぶたが重い」「上のほうが見えにくい」と感じて、アップニークを調べる方は少なくないと思います。アップニークは、後天性眼瞼下垂の治療に使う点眼薬として承認された薬です。ただ、まぶたが下がる原因は様々で、点眼の前に調べておくべき病気が隠れていることもあります。この記事で全体像をつかんだうえで、気になる症状があれば眼科で相談してください。

目次

この記事でわかること

  • アップニークとはどんな薬か。何のために承認されたのか
  • 上まぶたを持ち上げる仕組みと、1日1回1滴の使い方
  • 国内の臨床試験でわかっていること(数値は電子添文の原文どおり)
  • 使えるのはどんな人か。原因の確認、定期的な評価、中止の判断
  • 副作用と、診察で医師に伝えておきたいこと
  • 美容目的で使えない理由と、手術との違い

 

アップニークは、後天性眼瞼下垂の治療に使う点眼薬(目薬)です。2025年12月に承認され、2026年5月に発売されました(販売名:アップニークミニ点眼液0.1%)。保険は使えず、自由診療になります。

自分に使えるのか、手術とどう違うのかを調べている方もいるでしょう。この記事では、PMDAの電子添文・審査報告書と日本眼科学会の治療指針をもとに、効能から副作用まで整理します。

アップニークとは?後天性眼瞼下垂に承認された点眼薬

アップニークとは、後天性眼瞼下垂を効能・効果として承認された、参天製薬の点眼薬です。 一般名はオキシメタゾリン塩酸塩で、販売名は「アップニークミニ点眼液0.1%」です。医師の診察を受けて処方される医療用医薬品で、用法は成人を対象にしています。

後天性眼瞼下垂とは、生まれたあとに上まぶたが下がってくる状態です。まぶたの重み、開けづらさ、視界の狭さなどの症状が出ます。原因は加齢が多くを占めますが、神経や筋肉の病気、皮膚のたるみなどもあります(出典:日本眼科学会)。

項目 内容
販売名・一般名 アップニークミニ点眼液0.1%・オキシメタゾリン塩酸塩
製造販売元 参天製薬株式会社
効能・効果 後天性眼瞼下垂
用法・用量 通常、成人には、1回1滴、1日1回点眼する
承認・発売 2025年12月22日に承認、2026年5月15日に発売
保険 保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)=自由診療
剤形 0.3mLの1回使い切り。保存剤を含まない

 

出典:PMDA 電子添文(2026年3月改訂・第2版)、審査報告書、インタビューフォーム

アップニークの仕組み:ミュラー筋に作用して上まぶたを持ち上げる

アップニークは、上まぶたを持ち上げる筋肉の一つ「ミュラー筋」に作用する点眼薬です。 電子添文は、「ミュラー筋のαアドレナリン受容体に作用し、ミュラー筋を収縮させることにより上眼瞼を挙上させる」と記しています。受容体とは、体内の物質や薬の信号を受け取る部分のことです。

ミュラー筋の働きが十分でない場合は効果が出にくいことがあり、使う前に見分けるのは難しいと、審査報告書で説明されています。

効果の測り方「MRD-1」とは

MRD-1とは、角膜(黒目)の中心から上まぶたのふちまでの距離で、上まぶたの位置を数字で表す指標です。 電子添文では「上瞼縁角膜反射距離」と呼ばれています。数字が小さいほど、上まぶたが下がった位置にあります。

審査報告書では、MRD-1の正常値の下限の目安は概ね3.5mm程度と説明されています(出典:PMDA 審査報告書)。

アップニークの効果は?国内第Ⅲ相試験でわかっていること

国内の第Ⅲ相試験では、投与14日後のMRD-1の変化量が、プラセボを平均0.59mm上回りました。 プラセボとは、有効成分を含まない点眼液のことです。比べたのは、アップニークを1日1回点眼したグループです。

試験の概要は次のとおりです。

  • 対象:少なくとも片眼のMRD-1が2mm以下の後天性眼瞼下垂の患者(18〜74歳)
  • 方法:アップニークまたはプラセボを両眼に6ヶ月間点眼。患者も医師も、どちらか分からない形で比べた(無作為化二重遮蔽比較試験)
  • 主な評価:投与14日後の朝の点眼2時間後に測ったMRD-1の、点眼前からの変化量

 

試験には1日2回点眼するグループもありましたが、承認された用法は1日1回のため、1日1回のグループの結果を紹介します。

アップニーク(1日1回) プラセボ
MRD-1の変化量(mm) 1.09±0.07 0.50±0.07
群間差[95%信頼区間](mm) 0.59[0.38, 0.79] ―

 

出典:PMDA 電子添文 17.1.1 表2。投与14日後(朝点眼2時間後)。最小二乗平均値±標準誤差。群間差は p<0.0001

アップニークの国内第Ⅲ相試験で、投与14日後のMRD-1の変化量を比べた棒グラフ。アップニーク1日1回は1.09mm、プラセボは0.50mm
図1:投与14日後のMRD-1の変化量(国内第Ⅲ相試験)

数値は平均値で、効果の現れ方には個人差があります。 プラセボのグループでもMRD-1は0.50mm変化しており、アップニークの結果は、この変化と比べた差です。

点眼してから何時間続くのか、何分で効き始めるのかは、電子添文に記載がありません。

アップニークを使えるのは?後天性眼瞼下垂と診断された人

アップニークは、まぶたが下がっていると感じる人すべてが使える薬ではなく、後天性眼瞼下垂と診断された人に使う薬です。 生まれつきのまぶたの下がり(先天性眼瞼下垂)は、効能・効果に含まれません。 電子添文の「効能・効果に関連する注意」には、医師が確認する3つのことが書かれています。

原因の確認が先

後天性眼瞼下垂の主なものは、まぶたを持ち上げる上眼瞼挙筋の腱膜が、たるんだり裂けたりして下がる「腱膜性」です。加齢、コンタクトレンズの長期使用、白内障などの眼の手術後に起こるとされています(出典:日本眼科学会 治療指針)。

電子添文は、原因が腱膜性以外と考えられる場合は、その疾患に対する治療を優先するとしています(出典:電子添文 5.1)。例として、脳卒中、脳動脈瘤、ホルネル症候群、重症筋無力症、皮膚弛緩症が挙げられています。治療指針も、点眼によって原疾患を見落とし、診断が遅れることのないよう十分に留意することを求めています。原因の種類はまぶたが下がる原因と眼瞼下垂の種類で解説しています。

試験の対象と同じ背景か

電子添文は、臨床試験に組み入れられた患者の背景を十分に理解したうえで、適応患者を選ぶよう求めています。試験の対象は、MRD-1が2mm以下の後天性眼瞼下垂の患者です。重症筋無力症、ホルネル症候群、皮膚弛緩症などの患者や、眼瞼下垂の手術を受けたことのある患者は除かれました。

審査報告書で申請者は、後天性眼瞼下垂と診断された患者にのみ投与するよう、医療従事者向けの資材で伝える予定だと説明しています。その説明では、診断のために、MRD-1が正常値以下であることや、上方の視野の狭さなどの主訴を確認するとされています。

効果の確認と、中止の判断

電子添文は、定期的にMRD-1と患者の主訴の変化を評価し、効果が認められない場合は投与を中止するよう求めています。 主訴とは、まぶたが重い、まぶたが下がって見えづらいといった訴えです。患者向医薬品ガイドにも、症状を確認するため定期的に受診するよう書かれています。

申請者は審査報告書で、ミュラー筋の機能が保たれているかを使う前に確認するのは難しいと説明しています。そのため、使い始めてから定期的に検査し、一人ずつ続けるかを判断することが適切としています。

試験の投与期間は6ヶ月でした。電子添文には、6ヶ月を超えて点眼した際の有効性と安全性は検討されていない、とあります。審査報告書は、繰り返し使うと反応が弱まる可能性は否定できないとしています。1日1回のグループで明らかな反応性の低下は認められなかったとも述べていますが、6ヶ月の試験期間内の結果です。続けるかどうかは、定期的な診察のなかで医師と相談してください。

学会の治療指針が求める医師の条件

日本眼科学会の治療指針は、アップニークに十分な知識を持つ眼科専門医が、他の治療法も検討し、リスクとベネフィットを評価して患者を選ぶことを求めています。実施する医師の基準は、日本眼科学会専門医または日本専門医機構眼科専門医の資格を持つことです。

アップニークの副作用と、注意が必要な人

電子添文に載る副作用は、1%未満の眼瞼そう痒感と、頻度不明の結膜充血、点状角膜炎、霧視、血圧上昇などです。 区分は次のとおりです。

区分 1%未満 頻度不明
眼 眼瞼そう痒感(まぶたのかゆみ) 結膜充血、点状角膜炎、霧視、結膜浮腫、眼瞼湿疹、視力障害
循環器 ― 血圧上昇、心拍数減少

 

出典:PMDA 電子添文 11.2 その他の副作用

国内第Ⅲ相試験では、アップニークを1日1回点眼した112例中1例(0.9%)に、眼瞼そう痒感が認められました。「頻度不明」は、起こる割合を示せない項目という意味で、起こらないという意味ではありません。

日本眼科学会の治療指針は、引用論文の報告として、点状角膜炎、結膜充血、ドライアイ、霧視、眼痛、頭痛を挙げています。電子添文の表とは別の資料です。気になる症状があれば、早めに医師へ伝えてください。詳しくはアップニークの副作用と使えない人にまとめています。

電子添文は、散瞳が生じることがあるとして、回復するまでの運転や機械類の操作を避けるよう求めています。 太陽光や強い光を直接見ないよう、必要に応じてサングラスを使います。患者向医薬品ガイドには、点眼後に一時的に目がかすんだり、まぶしく見えたりすることがあると書かれています。

使えない人・注意が必要な人

対象 電子添文の記載
使えない人(禁忌) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
心血管系疾患のある患者 血圧及び脈拍数の変動により、症状が悪化するおそれ
閉塞隅角緑内障の患者 急性閉塞隅角緑内障の発作を起こすおそれ
妊婦・授乳婦 妊婦は治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与。授乳婦は授乳の継続または中止を検討
眼瞼に炎症所見(腫れ、赤みなど)がある患者 症状が治まってから使用
小児等 臨床試験は実施していない(審査報告書は推奨される投与対象を成人としている)
併用に注意する薬 MAO阻害剤(急激な血圧上昇のおそれ)、降圧剤(降圧作用が増強される可能性)、強心配糖体のジゴキシンなど(血圧または脈拍数の上昇作用が増強される可能性)

 

出典:PMDA 電子添文 2・8・9・10、審査報告書。併用禁忌の項はありません

アップニークの使い方と保管(1日1回・1回1滴)

用法は、「通常、成人には、1回1滴、1日1回点眼する」です。 患者向医薬品ガイドは、1回に2滴点眼したり、1日に2回点眼したりしてはいけないとしています。

電子添文に書かれている点眼のしかたは、次のとおりです。

  • 開封したら、最初の1〜2滴は点眼せずに捨てる(容器の破片を除くため)
  • 容器の先端が、直接目に触れないようにする
  • 点眼後は、1〜5分間まぶたを閉じ、目頭(涙嚢部)を軽く押さえる
  • 他の点眼薬を使うときは、少なくとも5分以上あける
  • 保存剤を含まないため、開封後は1回きりの使用とし、残った液は捨てる

 

両眼に点眼する必要がある場合は、1本を両眼に使い、残った液は使いません(出典:患者向医薬品ガイド)。使い忘れに気づいたときの対応は、処方した医師や薬剤師の指示に従ってください。患者向医薬品ガイドには、その日のうちに気づいたらすぐに1回1滴を点眼し、翌日に気づいた場合は前日の分は点眼しない、と書かれています。

保管は、容器が入ったアルミピロー包装を開封したあと、添付の遮光用投薬袋に入れます。室温なら3ヶ月以内、2〜8℃なら1年以内に使用します(出典:電子添文 20)。小児の手の届かないところに保管し、余った薬は他の人に渡さず、処分は薬局や医療機関に相談してください。

美容目的で使える?承認された効能と学会指針から答える

アップニークは、美容目的では使えません。 理由は次の2つです。

  1. 承認された効能・効果は「後天性眼瞼下垂」だけで、臨床試験の対象もMRD-1が2mm以下の患者でした。
  2. 日本眼科学会の治療指針が、「適応外の患者、および美容目的に使用しないこと」と明記しています。

 

治療指針は、対象を選ぶときに、眼瞼の位置を客観的に評価するとしています。加えて、患者が自覚する視機能の障害なども含めて、症状の全体像を総合的に考慮します。眼瞼の位置の評価が土台にあり、診断のないまま使う薬ではありません。

点眼薬と手術はどう違う?治療指針での位置づけ

点眼薬は、手術の代わりと位置づけられているわけではありません。 他の治療法とリスクやベネフィットを比べたうえで、眼科専門医が選ぶ治療の一つです。

日本眼科学会の治療指針は、腱膜性眼瞼下垂は手術療法を中心に治療するとしつつ、すべての眼瞼下垂が手術の適応になるわけではないとも述べています。日本眼科医会も、多くの眼瞼下垂に対する治療は手術だと説明しています。

審査報告書で、審査を担当したPMDAは、アップニークを治療選択肢の一つとして位置づけることは可能と判断しました。申請者は、経過観察の期間や手術までの待機期間のほか、手術を希望しない人や困難な人の治療の選択肢の一つとして期待できると説明しています。

治療指針は、アップニークを非侵襲的な治療オプションとして期待される薬剤としています。一方で、効果や安全性に十分な知識を持つ眼科専門医が、慎重に患者を選ぶことが重要だとも述べています。点眼か手術かは自分で決めず、診察で相談してください。

受診の目安と、診察で伝えたいこと

まぶたが下がってきた、重い、見えにくいと感じたら、まず眼科で原因を調べることが大切です。 アップニークを使うかどうかは、その診察のなかで決まります。

まぶたの症状に加えて、見え方の変化、頭痛、体の力の入りにくさなど、いつもと違う症状がある場合は、そのことも伝えてください。「急にまぶたが下がった」「片側だけ下がっている」「ものが二重に見える」ときも、はっきり伝えて、早めに眼科を受診してください。電子添文は、脳卒中や脳動脈瘤などが原因と考えられる場合に、その治療を優先するとしています。

治療指針は、眼瞼の位置の評価に加えて、眼科的な観察を併せて行うよう求めています。臨床試験では、安全性の確認のために、視力検査、瞳孔径の測定、眼圧測定、血圧・脈拍数の測定、細隙灯顕微鏡検査(目を拡大して調べる検査)が行われました(出典:インタビューフォーム)。

診察で伝えておきたいのは、次の5点です。

アップニークの診察で医師に伝えておきたい5つのことを示したチェックリスト。薬でアレルギーが出たこと、心臓や血管の病気、緑内障、飲んでいる薬、妊娠・授乳
図2:診察で医師に伝えておきたい5つのこと

  1. 薬でアレルギー(過敏症)が出たことがあるか
  2. 心臓や血管の病気があるか
  3. 緑内障と言われたことがあるか(特に閉塞隅角緑内障)
  4. 飲んでいる薬(MAO阻害剤、降圧剤、ジゴキシンなど)
  5. 妊娠中・授乳中、またはその可能性があるか

 

他の医師にかかるときや、薬局で薬を買うときも、アップニークを使っていることを伝えてください(出典:患者向医薬品ガイド)。

よくある質問

Q. アップニークは保険が使えますか?

A. 使えません。電子添文に「本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)」とあり、自由診療になります。

Q. アップニークは美容目的でも使えますか?

A. 使えません。承認された効能・効果は「後天性眼瞼下垂」だけです。日本眼科学会の治療指針も、「適応外の患者、および美容目的に使用しないこと」としています。

Q. アップニークはいくらですか?

A. 自由診療のため、薬剤費も診察料も、通院の頻度も医療機関によって異なります。この記事では特定の価格をお示ししません。受診の前に問い合わせて確認してください。

Q. 点眼をやめたら、元に戻りますか?

A. 点眼をやめると、眼瞼下垂は点眼する前の状態に戻ります。リバウンドは、頻回に使ったことによる眼瞼下垂の悪化を指すと考えられます。その場合は点眼を中止し、医師に相談してください(出典:監修医)。続けるかやめるかは、自己判断せず、医師と相談して決めてください。

Q. アップニークはどこで手に入りますか?

A. 医療機関で診察を受けたうえで処方される医療用医薬品です。患者向医薬品ガイドにも「処方されます」とあります。受診先は眼科です。

Q. 点眼したあと、運転してもよいですか?

A. 電子添文は、散瞳が生じた場合は回復するまで、自転車・自動車の運転や機械類の操作を避けるよう求めています。かすんだり、まぶしく見えたりしたときも、回復するまで控えてください。

Q. コンタクトレンズをしたまま点眼できますか?

A. コンタクトレンズを使っている方は、レンズを外してから点眼し、5分以上あけてから、もう一度装用してください。基本的には、他の点眼薬と同じ扱いです(出典:監修医)。

まとめ

アップニークについて、要点は次のとおりです。

  • 後天性眼瞼下垂に承認された点眼薬。用法は成人に1回1滴、1日1回。自由診療(保険給付の対象外)
  • 国内第Ⅲ相試験の14日後のMRD-1の変化量は、アップニーク1.09mm、プラセボ0.50mm(平均値)
  • 原因の確認が先。定期的に評価し、効果が認められなければ中止。6ヶ月を超えた有効性・安全性は未検討
  • 禁忌は成分への過敏症。心血管系疾患、閉塞隅角緑内障、妊婦・授乳婦などは注意が必要
  • 美容目的では使えない。手術の代わりではなく、眼科専門医が他の治療法と比べて選ぶ

 

アップニークを使えるかどうかは、薬の名前ではなく、まぶたが下がった原因と、いまの目の状態で決まります。

【監修医師より】

まぶたが下がってきたと感じたときは、まず原因を調べることが大切です。加齢によるものだけでなく、ほかの病気が関わっていることもあるためです。その診察のなかで、アップニークを使えるかどうか、続けるかどうかを一緒に決めていくようになります。迷ったときは、早めに眼科で相談してください。

参考文献

 

最終更新日:2026-10-19

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