【監修医師より】
アップニークは、後天性眼瞼下垂の治療に使う点眼薬です。目薬であっても、目やまぶたの症状だけでなく、全身にかかわる注意があります。使い始める前に知っておきたいこと、使い始めてから気をつけたいことを整理しました。気になる症状が出たときは、自己判断で続けたりやめたりせず、眼科で相談してください。
この記事でわかること
- 電子添文に載っているアップニークの副作用と、頻度の読み方
- 副作用が出たとき、何を医師や薬剤師に伝えるか
- 使えない人(禁忌)と、注意が必要な人の理由
- 併用に注意が必要な薬と、点眼後の運転の注意
- 6ヶ月を超えて使うときの注意と、早めに受診したいサイン
処方された方や、検討している方は、「副作用は?」「自分は使えるのか?」が気になるのではないでしょうか。
この記事は、PMDAの電子添文(2026年3月改訂・第2版)と審査報告書をもとにしています。副作用、使えない人、併用薬、運転の注意、受診のサインに絞って整理します。効能、仕組み、臨床試験の結果、使い方、手術との違いは、アップニークとは?眼瞼下垂の点眼薬の解説にまとめています。
アップニークの副作用とは?電子添文に載る症状と「重大な副作用の項がない」意味
アップニークの副作用とは、電子添文の「副作用」の項に載っている、有効成分オキシメタゾリン塩酸塩(αアドレナリン受容体作動薬)の点眼であらわれることがある症状です。 電子添文は、観察を十分に行い、異常があれば投与を中止するなど適切に対応するよう、医師に求めています。
載っている症状は、体の部位で次のように分かれます。
- 目の表面:結膜充血(白目の充血)、結膜浮腫(白目のむくみ)、点状角膜炎(黒目の表面の細かい傷)
- まぶた:眼瞼そう痒感(かゆみ)、眼瞼湿疹(湿疹)
- 見え方:霧視(かすんで見える)、視力障害(見えにくさ)
- 循環器:血圧上昇、心拍数減少
電子添文には「重大な副作用」の項がありません。これは、副作用が軽い、あるいは少ないと保証するものではありません。 載っている症状は、いずれも医師が観察し、異常があれば中止などの対応をとる対象です。
電子添文の表にない症状も?学会の治療指針が挙げる症状
日本眼科学会の治療指針は、実施する医師の条件として、副作用が起きたときに対処できることを挙げています。指針が引用する海外の論文に、点状角膜炎、結膜充血、ドライアイ、霧視、眼痛、頭痛の報告があるためです。これらは電子添文の副作用の表とは別の資料に基づく記載で、本剤の副作用の基準は電子添文の表です。
アップニークの副作用の頻度は?「1%未満」「頻度不明」の読み方
国内第Ⅲ相試験(治療Ⅰ期・3ヶ月)で、アップニークを1日1回点眼した112例のうち、副作用が認められたのは1例(0.9%)でした。 その1例の症状は眼瞼そう痒感で、電子添文では「1%未満」の区分です(出典:電子添文11.2・17.1.1)。副作用の出方には個人差があります。
頻度不明とは、起こる割合を示せない項目のことです。 インタビューフォームの解説では、頻度不明の副作用は、国内臨床試験の1日2回投与の群に出たものです。この用量は承認された用法(1日1回)の外ですが、1日1回なら起こらないと確認されたわけではありません。電子添文は、これらを「あらわれることがある」副作用として載せています。
「有害事象」と「副作用」は数え方が違う
試験の数字には、有害事象と副作用の2つがあります。意味が違うため、読み方に注意が必要です。
| 呼び方 | 意味 | アップニーク1日1回(112例) | プラセボ(112例) |
|---|---|---|---|
| 有害事象 | 薬との因果関係を問わず、試験中に起きた体調の変化 | 25.0%(28例) | 24.1%(27例) |
| 副作用 | 有害事象のうち、治験薬との因果関係ありと判断されたもの | 0.9%(1例) | 4.5%(5例) |
出典:PMDA 審査報告書 表13、インタビューフォーム。国内第Ⅲ相試験の治療Ⅰ期(3ヶ月)。プラセボは有効成分を含まない点眼液
プラセボ群の副作用5例は、霧視が2例、点状角膜炎、眼刺激、散瞳が各1例でした(出典:インタビューフォーム)。

この数字だけで、安全と読むことはできません。参加者は112例で、観察は3ヶ月、試験のなかで起きた範囲の結果です。
アップニークの副作用が出たらどうする?症状別に整理
副作用かもしれない症状があらわれたときは、できるだけ早く医師または薬剤師に相談します。 患者向医薬品ガイドの記載です。ガイドは、体調がよくなったと自己判断して使用を中止したり、使用量を加減したりしないことも求めています。
| 気づく症状 | 電子添文・ガイドで読めること | 対応 |
|---|---|---|
| まぶたのかゆみ | 眼瞼そう痒感(1%未満)。ガイドが「特にご注意いただきたい副作用」に挙げる | 医師または薬剤師に相談する |
| 目がかすむ、まぶしい | ガイドに「一時的に目がかすんだり、まぶしく見えたりすることがあります」とある。霧視・視力障害は頻度不明 | 回復するまで運転を避け、医師に伝える |
| 白目の充血やむくみ、まぶたの湿疹 | 結膜充血・結膜浮腫・眼瞼湿疹(頻度不明) | 医師に伝える |
| 目の痛み、頭痛 | 点状角膜炎(頻度不明)。学会の治療指針は眼痛と頭痛を挙げる | 医師または薬剤師に相談する |
| 見え方が急に変わった | 視力障害(頻度不明)。閉塞隅角緑内障の人は急性発作のおそれ | 早めに受診する |
| 動悸、血圧や脈拍の変化 | 血圧上昇・心拍数減少(頻度不明)。心血管系疾患の人は変動で悪化するおそれ | 早めに受診する |
出典:PMDA 電子添文 9・11、患者向医薬品ガイド、日本眼科学会 治療指針
急な見え方の変化、強い目の痛み、動悸や血圧の変化に気づいたときは、早めに受診してください。 点眼の続け方を自分で決めず、アップニークを使っていることを伝えます。他の医師にかかるときや、薬局で薬を買うときも同じです(出典:患者向医薬品ガイド)。
症状が出たときは、すぐに眼科を受診してください(出典:監修医)。迷ったときは、処方した眼科か薬局に連絡してください。学会の治療指針は、眼科的な異常があらわれた場合は直ちに精密検査を実施するとしています。実施する医師の基準は、眼科専門医の資格を持つことです。
アップニークを使えない人は?禁忌と、注意が必要な人の理由
アップニークを使えない人(禁忌)は、本剤の成分でアレルギー(過敏症)を起こしたことがある人です。 電子添文の禁忌は、この1項目だけです。成分は、有効成分のオキシメタゾリン塩酸塩と、塩化ナトリウムなどの添加剤です。以前に点眼薬などでアレルギーが出たことがある人は、薬の名前を医師に伝えてください。
禁忌ではなくても、注意が必要な人がいます。電子添文の記載に、インタビューフォームの解説にある理由を添えて整理します。
心血管系疾患・高血圧がある人
電子添文は、心血管系疾患のある人に、血圧や脈拍数の変動により症状が悪化するおそれがあるとしています。理由は、有効成分のオキシメタゾリンがαアドレナリン受容体作動薬だからです。脈拍数や血圧に影響するおそれがあります(出典:インタビューフォーム)。
日本眼科学会の治療指針は、心血管疾患のほかに、高血圧や起立性低血圧の既往がある人、MAO阻害薬を使っている人にも注意が必要と記しています(出典:日本眼科学会 治療指針)。電子添文の記載は「心血管系疾患のある患者」です。
閉塞隅角緑内障がある人
電子添文は、閉塞隅角緑内障の人に、急性閉塞隅角緑内障の発作を起こすおそれがあるとしています。理由は、散瞳によって急激な眼圧上昇のおそれがあるためです(出典:インタビューフォーム)。
緑内障と言われたことがある人は、閉塞隅角緑内障かどうかを主治医に確認して、診療のときに伝えてください。
妊娠中・授乳中の人
妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与します。授乳中の人は、授乳の継続か中止かを検討します。
理由は、どちらも使用経験がなく、安全性が十分検討されていないためです。授乳については、ラットの動物実験(経口投与)で、乳汁中への移行が報告されています(出典:電子添文9.6)。
小児(国内の試験は18歳以上が対象)
承認された用法は、成人です。国内の第Ⅲ相試験は18歳以上が対象で、小児を対象とした臨床試験は行われていません。審査報告書は、小児に点眼したときの安全性は不明としています。
まぶたに腫れや赤みがある人
電子添文は、まぶたに炎症の所見(腫れ、赤みなど)がある場合は、症状が治まってから使うとしています。理由は、まぶたの炎症が治まらないと、眼瞼下垂の診断を適切に行うことができないためです(出典:インタビューフォーム)。
なお、承認された効能は後天性眼瞼下垂だけです。美容目的の使用は、学会の治療指針が認めていません。詳しくは、解説記事の「美容目的で使えない理由」をご覧ください。
併用に注意が必要な薬は?医師と薬剤師への伝え方
アップニークの併用注意は、MAO阻害剤、降圧剤、強心配糖体の3種類で、併用禁忌はありません。 電子添文の10.2には、次のとおり書かれています。
| 薬 | 臨床症状・措置方法 | 理由(機序・危険因子) |
|---|---|---|
| MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩等) | 急激な血圧上昇を起こすおそれがある | MAO阻害剤の投与を受けている患者ではノルアドレナリンの蓄積が増大しているため、併用した場合急激な血圧上昇が起こるおそれがある |
| 降圧剤 | 降圧作用が増強される可能性がある | 併用した場合に相加的に降圧作用が増強されると考えられる |
| 強心配糖体(ジゴキシン等) | 血圧または脈拍数の上昇作用が増強される可能性がある | 併用した場合に血圧または脈拍数の上昇作用が増強されると考えられる |
出典:PMDA 電子添文 10.2 併用注意
降圧剤の「増強」は、降圧作用が強まる向きの記載です。血圧を上げる方向の注意(MAO阻害剤、強心配糖体)とは向きが異なります。
診療や薬局では、次のことを伝えてください。
- お薬手帳を見せて、飲んでいる薬をすべて伝える
- 血圧の薬や心臓の薬を飲んでいるかどうかを伝える
- 他の点眼薬を使っているかどうかを伝える
他の点眼薬を使うときは、少なくとも5分以上間隔をあけて点眼します(出典:電子添文14.1)。コンタクトレンズを使っている方も、他の点眼薬と同じです。レンズを外して点眼し、5分以上あけてから再び装用します(出典:監修医)。
点眼後の運転は?散瞳の注意が書かれている理由
点眼後に目がかすんだり、まぶしく見えたりしたときは、回復するまで、運転や機械類の操作を避けます。 電子添文8.2は、散瞳が生じる可能性があるため、自転車・自動車等の運転、機械類の操作を避けるよう求めています。必要に応じてサングラスをかけ、太陽光や強い光を直接見ないようにします。

審査報告書によると、国内第Ⅲ相試験で、散瞳は本剤の群では認められず、プラセボ群の1例だけでした。瞳孔の大きさの変化が最も大きかったのは、投与開始日の点眼6時間後です。平均0.38mmの増加でした(プラセボ群は0.03mm)。試験で測った時点の値で、運転してよい時間の目安ではありません。
それでも注意書きがあるのは、霧視と視力障害が報告されたためです。散瞳との関連が否定できない事象で、試験で報告された事例はいずれも軽度で一時的でした。1日2回の群やプラセボ群などで報告された事象で、回復にかかる時間の目安は電子添文に書かれていません。
審査報告書は、散瞳による視機能障害のおそれと、日中の使用が想定されることを、注意喚起の理由に挙げています。かすみやまぶしさが残るうちは運転や機械の操作を控え、気になるときは眼科に相談してください。
長く続けるときの注意:6ヶ月を超える使用と市販直後調査
アップニークを6ヶ月を超えて点眼したときの有効性と安全性は、検討されていません。 電子添文8.1の記載です。インタビューフォームは、臨床試験の最長投与期間が6ヶ月で、それ以上の使用経験はないためと説明しています。
続けるときは、次の3つが大切です。
- 治療を続けながら定期的に受診して、まぶたの位置(MRD-1)と症状の変化を確認する(電子添文5.3、患者向医薬品ガイド)
- 眼瞼下垂への効果だけでなく、目の状態も合わせて観察する(日本眼科学会の治療指針)
- 効果が認められないときは投与を中止し、原因を調べ直す(電子添文5.3、治療指針)
審査報告書は、繰り返し使うと反応性が低下する可能性は否定できないとしています。承認時の試験(最長6ヶ月)の1日1回の群では明らかな低下は認められませんでしたが、6ヶ月を超えた使用の有効性・安全性は検討されていません。反応性の低下は電子添文に書かれておらず、医療従事者向けの資材で情報提供するとされています。
点眼をやめると、まぶたは点眼前の状態に戻ります。リバウンドは、頻回に使ったことによる眼瞼下垂の悪化を指すと考えられます。気づいたときは点眼を中止し、医師に相談してください(出典:監修医)。やめたあとの経過は、アップニークの解説記事のよくある質問でも取り上げています。
RMP(医薬品リスク管理計画)の安全性検討事項は、重要な特定されたリスク・潜在的リスク・不足情報とも「なし」です。 副作用がないという意味ではなく、重要なリスクとして取り上げる項目がないという記載です。追加の安全性監視として、販売開始後6ヶ月間の市販直後調査が計画されています(出典:RMP)。
多く点眼した・誤って口に入ったときは?
用法を超えて使って異常を感じたときや、誤って口に入ったときは、医師または薬剤師に連絡します。 患者向医薬品ガイドは、1回2滴や1日2回の点眼をしてはいけないと明記しています。保存剤を含まないため、開封後は1回きりの使用で、残った薬液はあとで点眼せず捨てます(出典:電子添文14.1)。
誤って飲んでしまうと、胃腸障害、呼吸器障害、心臓障害、意識障害を引き起こす可能性があります(出典:患者向医薬品ガイド)。電子添文には、小児がオキシメタゾリンなどのイミダゾリン誘導体を含む点眼液等を誤飲した海外の報告も載っており、悪心、嘔吐、頻脈、低血圧などが報告されています(出典:電子添文 13)。
飲み込んだときの対応は、電子添文にもガイドにも具体的には書かれていません。特に小児が飲み込んだときは様子を見ず、すぐに医師または薬剤師に連絡して指示を受けてください。
よくある質問
Q. アップニークの副作用で、いちばん多いのは何ですか?
A. 電子添文で頻度が示されているのは、1%未満の眼瞼そう痒感(まぶたのかゆみ)だけです。国内第Ⅲ相試験でも、112例中1例(0.9%)に認められました。そのほかは頻度不明のため、多い順・少ない順は示せません。
Q. 副作用はいつ出て、どのくらいで治まりますか?
A. 出る時期や続く時間は、電子添文にもガイドにも書かれていません。審査報告書には、試験中に報告された霧視と視力障害が軽度で一時的だったとありますが、数例の経過です。気になる症状があらわれたら、すぐ眼科を受診してください。
Q. 高血圧で降圧剤を飲んでいますが、使えますか?
A. 高血圧や降圧剤の使用は、「注意が必要な人」と「併用注意の薬」の両方に関わります。使えるかどうかは診療で医師が判断します。血圧の状態と、飲んでいる薬の名前をすべて医師に伝えてください。
Q. 緑内障と言われたことがあります。使えますか?
A. 電子添文が注意を求めているのは、閉塞隅角緑内障です。ほかの種類の緑内障についての記載は電子添文になく、使えるかどうかは医師が判断します。診断されている緑内障の種類を、医師に伝えてください。
Q. 妊娠中や授乳中でも使えますか?
A. 使用経験がなく、安全性が十分検討されていないため、注意が必要とされています。妊婦または妊娠している可能性のある女性は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使います。妊娠中・授乳中、またはその可能性があるときは、必ず医師に伝えてください。
Q. 6ヶ月以上使い続けても大丈夫ですか?
A. 大丈夫とも、危険とも言えません。電子添文は、6ヶ月を超えて点眼した際の有効性と安全性は検討されていないとしています。続けるかどうかは、定期的な受診のなかで、まぶたの位置と症状の変化を確認しながら、医師と決めます。
まとめ
アップニークの副作用と注意点の要点は、次のとおりです。
- 副作用は、1%未満の眼瞼そう痒感と、頻度不明の目・循環器の症状。電子添文に重大な副作用の項はない
- 禁忌は成分へのアレルギー(過敏症)。心血管系疾患、閉塞隅角緑内障、妊婦・授乳婦、小児、まぶたに炎症がある人は注意が必要
- 併用注意はMAO阻害剤、降圧剤、強心配糖体。降圧剤は降圧作用が増強される可能性
- かすむ・まぶしいときは回復するまで運転を避ける。6ヶ月を超えた使用は検討されていない
副作用への備えは、使う前に自分の状態と飲んでいる薬を伝えることと、使い始めてから気づいたことを伝えることの2つです。
【監修医師より】
副作用の説明では、起こる頻度だけでなく、何に気づいたら伝えればよいかを知っておくことが役に立ちます。診療のときは、緑内障と言われたことがあるか、心臓や血圧の病気があるか、飲んでいる薬は何かを教えてください。使い始めたあとも、まぶたの状態や見え方を定期的に確認しながら、続けるかどうかを決めていきます。迷ったときは、早めに眼科で相談してください。
参考文献
- アップニークミニ点眼液0.1% 電子添文(PMDA)
- アップニークミニ点眼液0.1% 審査報告書(PMDA)
- アップニークミニ点眼液0.1% インタビューフォーム(PMDA)
- アップニークミニ点眼液0.1% 患者向医薬品ガイド(PMDA)
- 医薬品リスク管理計画書(RMP)(PMDA)
- 後天性眼瞼下垂に対するoxymetazoline(0.1%)点眼療法に関する治療指針(日本眼科学会)
最終更新日:2026-10-09

