眼瞼下垂は保険適用になる?手術と点眼薬、保険と自費の考え方

監修:花房 彩 医師
この記事の監修医師
花房 彩 医師
眼科専門医
プロフィール →

【監修医師より】

眼瞼下垂で保険が使えるのか、費用はいくらかかるのかを気にされる方は、少なくないと思います。手術には診療報酬の項目がありますが、保険診療で行うかどうかは、診察で原因やまぶたの状態、見え方への影響を確かめたうえで判断します。点眼薬は保険の対象外です。この記事では、確認できた公的資料の範囲で、仕組みと確認したい点を整理しました。費用が気になるときは、受診時に医療機関へ確認してください。

目次

この記事でわかること

  • 眼瞼下垂の手術と点眼薬で、保険の扱いがどう違うか
  • 「保険が使える基準」を探しても、数値が見つからない理由
  • 保険診療と自由診療で、費用の決まり方がどう違うか
  • 受診前に、医療機関へ確認したい費用の項目
  • 高額療養費制度と医療費控除について、確認できた範囲

 

眼瞼下垂について調べると、「保険は使えるのか」「結局いくらかかるのか」が気になる方は少なくないでしょう。手術は保険診療の対象になりえますが、点眼薬のアップニークは自由診療です。

この記事には、治療にかかる費用の金額を載せていません。点数は改定で変わり、自由診療の費用は医療機関ごとに違うためです。かわりに、費用の決まり方と、受診前に確認したい項目を整理します。

眼瞼下垂の保険適用の結論:手術は保険診療の対象になりうる、点眼薬は自由診療

眼瞼下垂の手術は、診療報酬点数表に「眼瞼下垂症手術」の項目があり、保険診療の対象になりえます。点眼薬のアップニークは、保険給付の対象外で、自由診療です。 診療報酬点数表とは、保険診療で行える診療行為と、その点数を定めた厚生労働省の告示です。

手術 点眼薬(アップニークミニ点眼液0.1%)
保険の扱い 点数表に「眼瞼下垂症手術(K219)」の項目がある 保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)=自由診療
誰が判断するか 保険診療で行うかは、診察した医師が判断する 使えるかどうかは、診断を含めて医師が判断する(日本眼科学会 治療指針)

 

出典:厚生労働省の点数表、PMDA 電子添文25、日本眼科学会 治療指針

この記事は、保険が使えるかどうかを判定するものではありません。 まぶたの状態や見え方への影響は、診察で確かめます。

眼瞼下垂の手術は保険適用?点数表の項目と、判断する人

手術は、診療報酬点数表の「K219 眼瞼下垂症手術」として載っています。 令和8年度改定後の点数表では、術式の区分が3つあります。眼瞼挙筋前転法、筋膜移植法、その他のものです。点数は改定で変わります。

点数表に項目があるのは、その手術が保険診療の対象になりうる、という意味にとどまります。自分の手術が保険診療になるかどうかは、別の問題です。

算定の要件を定めた記載は確認した通知になく、実際には、診察した医師が診断と症状から判断します。 判断の軸になるのは、見えにくさなど、視機能への影響です。病院の患者向け情報も、この考え方で書かれています。

眼瞼下垂の保険適用の基準は?数値や視野の条件は、確認した資料に見当たらない

「まぶたが何mm以下なら保険が使える」といった基準は、確認した公的資料にありませんでした。 2026年10月に、令和8年度の診療報酬点数表(告示)と通知(別添1)を確認しています。まぶたの幅などは個人差があるため、数値での判断はしていません(出典:監修医)。

厚生労働省の通知に、算定要件の記載は見当たらない

告示にあるのは、術式の区分と点数だけです。通知(別添1・727ページ)で「眼瞼下垂」「K219」が出るのは、1か所だけでした。短期滞在手術等基本料3の対象手術を並べた箇所です。まぶたの位置、視野、症状といった条件は、書かれていません。

診療報酬の疑義解釈や、審査での取扱いを示した資料は、確認できていません。基準が別の文書にある可能性は残ります。

形成外科学会のガイドラインの「手術適応」は、保険の条件ではない

日本形成外科学会の診療ガイドライン(2021年版)には、手術治療を要する眼瞼下垂症の基準を示した項目があります。定量的な基準と、患者の訴えなどの定性的な基準を組み合わせたもので、推奨の強さは「弱い推奨、弱い根拠」です。

これは学会が示した手術適応の推奨で、保険の算定条件とは書かれていません。 ガイドライン自身も、今後の課題を挙げています。ドライアイなど、整容面と視野以外の眼機能も含めた手術適応基準が必要と思われる、という内容です。数値は医療者向けのため載せません。自分で当てはめて判断することも避けてください。

病院の患者向け情報には、どう書かれているか

病院のページには、保険診療になる条件を、自院の運用として説明しているものがあります。学会・公的機関の見解ではありません。

病院 書かれていること
東京大学形成外科 臨床写真や計測器で視野を客観的に評価する。眼瞼下垂により視野が障害されている場合には、保険診療により治療することができる
国立病院機構 京都医療センター 形成外科 見にくさや視野の改善のために手術を行う。「単なる整容面の改善のための手術は保険適応になりません」として扱っていない
日本医科大学武蔵小杉病院 形成外科 保険適応の手術は、実際に見えにくく生活に支障をきたしている眼瞼下垂が対象。美容的な側面がメインと考えられる場合は、保険が適応とならず自費治療となることがある

 

出典:各病院の患者向けページ(2026年10月確認)。表は編集部の整理です

確認した3つの病院は、見えにくさや視野の障害など、機能への影響を軸に書いています。 ただ、その線をどこに引くかを定めた公的な基準は、見つかっていません。保険診療の対象になるかは、診察を受ける医療機関に確認してください。

見た目の改善が主な目的のときは

見た目の改善が主な目的の手術は、保険診療にならないと書く病院があります(上の表)。点眼薬については、日本眼科学会の治療指針が、「適応外の患者、および美容目的に使用しないこと」と明記しています。

眼瞼下垂の保険適用の判断の流れ。診察でまぶたの状態と見え方への影響を確かめ、診察した医師が保険診療で行うかを判断し、費用の内訳を確認する流れを示した図
図1:保険診療で行うかが決まるまでの流れ(編集部の整理)

眼瞼下垂の目薬(点眼薬)は保険適用?アップニークは自由診療

眼瞼下垂の点眼薬「アップニークミニ点眼液0.1%」は、保険給付の対象外で、自由診療です。 電子添文の「保険給付上の注意」に、「本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)」とあります。インタビューフォームと、参天製薬の発売のお知らせにも、同じ趣旨の記載があります。

自由診療は、内容や費用が医療機関ごとに大きく異なりうると、厚生労働省の医療広告等ガイドラインは説明しています。目薬の価格も、診察料も、再診の頻度も、医療機関で異なります。受診前に確認してください。

点眼薬と手術は、位置づけが違う

日本眼科学会の治療指針は、腱膜性眼瞼下垂と診断された場合は手術療法を中心に治療するとしています。自分の眼瞼下垂の種類は、診察で確かめる必要があります。同じ指針は、アップニークを非侵襲的な治療オプションとして期待される薬剤としています。そのうえで、効果や安全性に十分な知識を持つ眼科専門医が慎重に患者を選ぶことが重要と述べています。あわせて、「適応外の患者、および美容目的に使用しないこと」と明記しています。

治療法の選択は、まず原因の診断を受けたうえで、医師と相談して決めます。薬の内容はアップニークとは?眼瞼下垂の点眼薬を電子添文で解説に、副作用はアップニークの副作用と使えない人にまとめています。

眼瞼下垂の費用はいくら?保険診療と自由診療で、決まり方が違う

費用の金額は、医療機関に確認するしかありません。ただ、金額の決まり方は、保険診療と自由診療で違います。 下の表は仕組みの比較で、金額は載せていません。

保険診療 自由診療
価格の決め方 診療行為ごとの点数を、国が点数表で定める 医療機関が、内容と費用を決める
窓口で払う額 医療費の一部(自己負担)。割合は年齢や所得で異なる 保険からの給付はない
費用の内訳 初診料・再診料、検査、手術、麻酔、投薬などが、点数表の別の部に載っている 医療機関ごとに異なる
上限の仕組み 高額療養費制度がある 確認した厚生労働省のページに、記載がない

 

出典:厚生労働省の点数表(目次)・医療保険の資料・ガイドライン・高額療養費のページ

保険診療と保険外の診療を、同じ病気で併せて行えるか

保険診療と保険外の診療を併せて行うことは、一般に混合診療と呼ばれます。厚生労働省は、保険外併用療養費制度を設けています。同省のページは、将来的な保険収載を目指す先進的な医療等について、一定のルールで保険診療との併用を認めると説明しています。評価療養、患者申出療養、選定療養に分類されます。選定療養は、将来的な保険導入を前提としないものです。

アップニーク点眼薬は、現時点では自由診療です。そのため、基本的に保険診療との併用はできません(出典:監修医)。ほかの治療を含め、同じ診療のなかで保険と自費を組み合わせられるかは、医療機関に確認してください。

眼瞼下垂で受診する前に、医療機関へ確認したい費用の項目

費用は、手術料だけでは決まりません。 点数表では、初診料・再診料、検査、手術、麻酔、投薬が、それぞれ別の部に載っています。手術料のほかに、どの費用がかかるのかを確認しましょう。

確認する項目 なぜ確認するか
保険診療か、自由診療か 保険診療で行うかは、診察した医師が判断する。診察のなかで確認する
手術料のほかに、何がかかるか 初診料・再診料、検査、麻酔、薬などは、点数表では別の部。診察料や検査の扱いは、確認した資料に書かれていない
再診・診察の回数と時期 手術では、術後約1週間で抜糸し、その後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月に外来で経過を観察すると書く病院がある(近畿大学病院の患者向けページ)。点眼薬では、電子添文が定期的な評価を求める。回数と、その都度の費用を確認する
日帰りか、入院か 診療所を除く保険医療機関に入院して行う場合、通知は眼瞼挙筋前転法と「その他のもの」を、短期滞在手術等基本料3の対象手術に挙げる。入院の有無で、算定の扱いが異なる
自由診療なら、総額と内訳 厚生労働省のガイドラインは、医療機関のウェブサイトなどが自由診療の情報を載せる場合の要件として、通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間・回数を示すよう求めている
領収書と明細の保管 医療費控除の申告で、領収書の提示や提出を求められる場合がある(国税庁)

 

出典:近畿大学病院、厚生労働省、PMDA、国税庁。表は編集部の整理です

眼瞼下垂で受診する前に医療機関へ確認したい6つの項目。保険診療か自由診療か、手術料以外にかかるもの、再診・診察の回数と時期、日帰りか入院か、自由診療の総額と内訳、領収書の保管
図2:受診前に医療機関へ確認したい6つの項目

高額療養費制度と医療費控除は使える?確認できた範囲

高額療養費制度(厚生労働省)

高額療養費制度とは、窓口で払う医療費が上限額を超えたとき、超えた額を支給する制度です。上限額は、年齢や所得に応じて定められています。

外来でも、マイナ保険証を使うか、事前に限度額適用認定証を入手すれば、窓口での支払いを月ごとの上限額までにできます。

確認したページには、自由診療の費用が対象になるかの記載がありません。保険診療で手術を受ける場合に上限額を超えるかは、手術の内容、年齢、所得などで変わるため、この記事では判断できません。健康保険組合、協会けんぽ、市区町村の国民健康保険など、加入している保険者に確認してください。

医療費控除(国税庁)

医療費控除とは、その年の医療費が一定額を超えたとき、所得控除を受けられる制度です(国税庁 No.1120)。1月1日から12月31日までに、自分または生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費が対象です。

控除額は、支払った医療費の合計額から、保険金などで補てんされる金額と一定額を引いて計算します。補てんされる金額の例には、健康保険で支給される高額療養費があります。計算のしかたと申告の手続き、領収書の保管期間は、国税庁のNo.1120を確認してください。

国税庁のNo.1122は、対象になる医療費の例を挙げています。「医師または歯科医師による診療または治療の対価」と、「治療または療養に必要な医薬品の購入の対価」などです。ビタミン剤など、病気の予防や健康増進のための医薬品は、対象になりません。

保険外の点眼薬などが対象になるかは、この記事では判断できません。 税務署、または国税庁の資料で確認してください。

眼瞼下垂の費用が気になるときの受診の流れ

まず眼科で、まぶたが下がっている原因を診断してもらうことが大切です。 点眼薬が使えるかどうかも、診察のなかで医師が判断します。保険診療の対象か、治療法の選択肢、費用の内訳も、その診察で確認します。

  1. 眼科で、まぶたの位置や見え方、原因を確かめる(受診先は、眼瞼下垂の原因と何科の目安)
  2. 診断をもとに、治療法の選択肢を聞く。手術と点眼薬のほか、原因の病気の治療が先になることもある(日本眼科学会)
  3. 保険診療の対象か、自由診療か、費用の内訳を確認する。領収書と明細は保管する

 

マッサージや市販の目薬など、自分でできることが気になる方は、眼瞼下垂のセルフケアを資料で確かめた記事もご覧ください。

よくある質問

Q. 眼瞼下垂の手術で、保険適用になる条件は?

A. 条件を定めた公的な基準は、確認した資料にありませんでした。基準が無いから保険診療になる、という意味ではありません。点数表に項目はありますが、算定の要件は、厚生労働省の通知(別添1)に見当たりません。病院の患者向け情報は、視野の障害など、見えにくさへの影響を軸に書いています。保険診療になるかは診察した医師が判断しますので、受診して確認してください。

Q. 保険診療と自費で、手術の内容は違いますか?

A. 違いを比べた学会・公的機関の資料は、確認した範囲にありません。点数表は術式を3つに区分していますが、自由診療の内容は医療機関ごとに大きく異なります。手術の方法と費用の内訳は、受診して医療機関に確認してください。

Q. 眼瞼下垂の点眼薬は、保険が使えますか?

A. 使えません。アップニークミニ点眼液0.1%は、電子添文に「保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)」とあり、自由診療です。自由診療のため、基本的に保険診療との併用もできません(出典:監修医)。使えるかどうかは、診断とあわせて医師が判断します。

Q. アップニークはいくらですか?眼瞼下垂の目薬の価格は?

A. 自由診療のため、価格は医療機関によって異なります。この記事では、特定の価格を示していません。薬剤費のほか、診察料、再診の費用、1回に処方される量も、受診前に医療機関へ確認してください。

Q. 高額療養費制度は使えますか?

A. 眼瞼下垂の手術で対象になるかは、手術の内容、年齢、所得などで変わります。自由診療の費用が含まれるかも、加入している保険者に確認してください。

Q. 医療費控除は受けられますか?

A. 手術や点眼薬の費用が対象になるかは、この記事では判断できません。国税庁のNo.1122は、医師による診療または治療の対価を、対象の医療費に挙げています。領収書は保管しておき、税務署、または国税庁の資料で確認してください。

Q. 手術のあと、何日休む必要がありますか?

A. 病院の患者向け情報には、術後約2週間は腫れや内出血が目立つという記載があります(近畿大学病院)。両眼の手術では腫れで日常生活に支障が出る場合があるとして、短期入院を勧める病院もあります(京都医療センター)。日数を示した学会・公的機関の資料は、確認した範囲にありません。手術の方法や、片眼か両眼かで変わり、個人差があります。仕事の予定は、医療機関に確認してください。

まとめ

眼瞼下垂の保険の考え方について、要点は次のとおりです。

  • 保険診療か自由診療かは、診察した医師が判断する。手術には点数表の項目がある
  • 公的な数値の基準は、確認した資料にない。学会ガイドラインの手術適応は保険の条件ではない
  • 点眼薬のアップニークは自由診療で、基本的に保険診療との併用はできない。費用は医療機関ごとに異なる
  • 手術料以外の費用の項目と、再診の回数も、受診前に医療機関へ確認する
  • 高額療養費と医療費控除は、保険者や税務署に確認する

 

【監修医師より】

保険の扱いは、手術と点眼薬で異なります。手術は保険診療で行えるかどうかを、診察のなかで判断します。点眼薬は保険外で、使い始めたあとも定期的な診察が必要です。診察の頻度や費用も、あらかじめ医療機関に確認してください。迷ったときは、まず眼科で相談してください。

参考文献

 

最終更新日:2026-10-09

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